2006年7月13日(木)「しんぶん赤旗」
内閣府がリポート
低所得の60歳代前半
受診を控える傾向
退職して年金生活に入る六十歳代前半では、所得が低い人ほど病院の受診を控える傾向が強い――。内閣府がまとめたリポートで、こうした実態が明らかになりました。
このリポートは「医療保険制度と年齢階層別にみた受診行動」で、受診の必要な人が実際に通院しているかどうかを、年齢や所得階層ごとに分析しました。
その結果、六十歳代前半では、所得が低く、かつ国保(国民健康保険)の加入者であるほど、受診を控える傾向が強いと指摘。「こうした人々の多くは無業者であり、退職後国保に移った層が中心と考えられる」とのべています。
また、この年代の特徴として、退職の時期を迎えて年金生活に変わることや、年金の支給開始年齢の引き上げによる給付削減の影響を受けていることをあげ、「受診ニード(受診の必要度)が急速に高まる一方、可処分所得は大幅に減少するため、受診の必要性と実際の受診の間に乖離(かいり)が生じている」と分析しています。
リポートは、こうした状況を解消するために、退職後に低所得者層となった人を中心に、就業や所得の状態に応じて自己負担率を調整するなどの配慮を行う必要があると指摘。退職後も希望すれば一定期間、健康保険に加入できる任意継続被保険者制度を拡充することや、高齢者に安定した雇用の機会を確保することが重要だと提起しています。
リポートでは、国民生活基礎調査(一九九五―二〇〇四年)のデータを使用しました。