2006年7月13日(木)「しんぶん赤旗」

過労自殺、一転認める

労基署 富士通社員遺族に謝罪


 富士通社員の男性=当時(28)=が自殺したのは過労が原因として、横浜市の両親が労災申請していた事件で、請求を認めなかった厚木労働基準監督署が一転して過労自殺と認定したことが十二日、わかりました。

 男性は二〇〇〇年四月に富士通に入社。システムエンジニアとして医事事務ソフトの操作マニュアルを作成していました。徹夜勤務を終えた〇二年三月十七日に急性ストレス反応を起こし、同二十日、自殺しました。

 遺族側の調べでは、自殺直前一カ月の時間外労働は二百十時間を超え、その前月も百十五時間を超えていました。

 両親は息子の死から半年後に同労基署に労災申請しましたが認められず、保険審査官も審査請求を棄却。昨年八月に労働保険審査会に再審査請求し、同十二月に東京地裁に提訴しました。

 過労死認定基準は月百時間となっていますが、過労自殺については長時間労働と精神疾患発症との関連性を軽視する問題点が指摘されていました。

 過労死弁護団の川人博幹事長は「被災者遺族の救済をいたずらに遅らせ、担当官庁の姿勢が問われる。認定基準の見直しに着手する必要がある」としています。

 男性の父親(65)は会見で「四年余も待たされ、訴訟を起こさないと明確にならない労働行政は何なのか。認定は少し救いになった」と話しました。労基署は両親に対して、「長期間、ご迷惑をおかけし、おわびする」と謝罪をしたといいます。


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