2006年7月12日(水)「しんぶん赤旗」

2万号迎える「しんぶん赤旗」

デジタル化でアナログテレビ停止

国民合意へ 問題点を追及


 「今、見ているテレビが見られなくなるというのは本当ですか」

 「デジタル化への移行は頭の痛いことです。アナログで十分。デジタルを希望する者はデジタル、アナログで満足している者はアナログで見させてほしい」

 テレビラジオ部にメールや電話で、デジタル化についての意見や問い合わせが相次いでいます。

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 五年後の二〇一一年七月二十四日に、アナログ放送が打ち切られようとしています。一億台あるといわれるテレビが見られなくなる。ゴミと化してしまう。これが、テレビの二〇一一年問題です。ところが、一一年のアナログ放送の打ち切りを知らない人が、三人に二人もいます。(三月の「地上デジタルテレビジョン放送に関する浸透度調査」から)

 「しんぶん赤旗」テレビラジオ欄で五月末に、「地上デジタル化〜2011年問題の行方」と題して三回連載をしました。国会で吉川春子参院議員が、デジタル化を取り上げました。デジタル化を推進している各国でアナログ放送を打ち切った国はないこと、今年終了する予定だったアメリカですら三年先に延長したことをあげ、吉川議員は「国民の合意なしにアナログ放送を打ち切らないように」と要望しました。

 一一年にアナログ放送を停波する。これは、二〇〇一年の国会に突然、提出された電波法改定で決められてしまいました。「期限を区切らないとデジタル化が進まない」というのが総務省の言い分でした。反対したのは、日本共産党だけです。デジタルテレビへの買い替えの点でも、デジタルで全国をカバーする点でも条件が整わないというのが理由でした。

 「しんぶん赤旗」は、これまでもデジタル化をどう考えればいいのか、特集を含めて伝えてきました。一般新聞は、デジタル化について、時々に事態を追う記事は出しますが、この問題を掘り下げることはしません。新聞各社が、そろって地上デジタル推進全国会議に加盟しているので、デジタル化の問題点を正面から取り上げることはできません。全国会議にはNHK、民放各局、家電メーカー、家電量販店、広告会社から竹中総務相、全都道府県知事までが参加して、強力に推進しようとしています。

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 店頭に並ぶ大画面テレビ。でも、すべてがデジタル対応ではありません。せっかく買ったのに、五年後には映らなくなってしまうなんてこともありえます。

 とくにお年寄りにとってはテレビは毎日の楽しみであり、だいじな情報源。一家に二台、三台の時代でもあります。そのすべてを十数万円もする高価なデジタルテレビに買い替えることができるのでしょうか。情報格差が広がり、情報難民が生まれそうな心配もあります。

 家電をめぐっては、四月に実施のPSE法(電気用品安全法)で中古家電が販売できなくなるとしたために大混乱を招きました。五年後に突然、アナログのテレビが見られなくなってしまえば、それを上回る事態になることも予想されます。

 「しんぶん赤旗」では、(1)デジタル技術の進歩を国民全体のものとする(2)国民の立場からデジタル化への円滑な移行をはかるためのさまざまな条件を明らかにする――この二つを基調に引き続き報道していきます。(渡辺俊江)


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