2006年7月12日(水)「しんぶん赤旗」

トヨタ

欠陥放置し事故

リコール８年間怠る 部長ら書類送検

　トヨタ自動車のＲＶ車「ハイラックス」について、約八年間にわたりリコール（回収・無償修理）などの改善措置を怠ったため、交通事故で五人がけがをしたとして、熊本県警交通指導課などは十一日、業務上過失傷害の疑いで、同社のお客様品質部長（５５）＝愛知県豊田市＝ら三人を書類送検しました。三人はリコールに関する歴代の責任者。大筋で容疑を認めているといいます。自動車の欠陥は、一歩間違えば人命にかかわる大事故につながります。長期にわたって欠陥を放置してきたトヨタの責任は重大です。今回の事件で、安全よりも利益第一の同社の体質が厳しく問われます。

　書類送検されたのはこのほか、同社の元品質保証部長（６２）＝同市＝と、リコール監査室長（５８）＝同県三好町＝。

　調べによると、部長らは「ハイラックス」のハンドルの動きを前輪に伝える鉄製の「リレーロッド」と呼ばれる部品について、運転中に折損する不具合が断続的に発生したことを受け、一九九五年から翌年にかけ原因を調査。強度不足が判明し危険性を認識したにもかかわらず、リコールなどをしなかった疑い。重大事故が起きていないことから、対策を取らなかったといいます。

　この結果、熊本県菊池市で二○○四年八月、同部品が折損しハンドル操作が不能となった「ハイラックスサーフワゴン」（九三年製造）が、会社員男性の対向車と衝突。この男性と妻、五カ月から二歳だった子ども三人が、二―五十日のむち打ちや打撲を負いました。

　リレーロッドは全長約八十二センチで、先端から約四・五センチの部分が折損していました。

　トヨタは事故後の同年十月、リレーロッドの強度が不足しているとして、ハイラックス三車種のリコールを国土交通省に届け出ました。