2006年7月9日(日)「しんぶん赤旗」
『アンネの日記』燃やす
ネオナチ3人を勾留
ドイツ
【ベルリン=中村美弥子】ドイツでホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の事実を否定するネオナチが六月下旬、集会で『アンネの日記』の本を燃やすという事件が起き、社会に衝撃と動揺を広げています。国内全体が平和的な雰囲気に包まれたサッカーのワールドカップ(W杯)ドイツ大会の終了を直前にして、事件は祭り気分に水をさすものとなりました。
『アンネの日記』が燃やされたのはザクセン・アンハルト州プレッツェン村。「東エルベ祖国連合」と称する極右グループが集会を開き、約百人が参加。米国国旗も燃やされ、法律で禁止されているナチ礼賛の歌が歌われました。
メンバーの二十歳代の男三人が『アンネの日記』に火をつけました。報道によると、三人は火をつけるとき、「アンネを火あぶりの刑に処す」と叫んだといいます。三人は人種的憎悪を引き起こした容疑で勾留されています。
今回の事件は、第二次世界大戦中のナチ支持者による焚書(ふんしょ)を連想させるものです。最近連続して起きている外国人襲撃事件とも重なるものです。
ザクセン・アンハルト州だけでなく、旧東ドイツ地域の州は経済が停滞し、高失業率に直面しています。ネオナチが影響力を拡大する土壌となり、それに対する取り組みの強化が課題となっています。