2006年7月6日(木)「しんぶん赤旗」

2万号迎える「しんぶん赤旗」

元日本兵が語る「大東亜戦争」の真相

平和願い 加害の体験語る


 戦後六十年企画として社会部が、昨年八月から十二月にかけて掲載した「元日本兵が語る『大東亜戦争』の真相」。連載中から“ぜひ本にしてほしい”との問い合わせも多く、五月、日本共産党中央委員会出版局から発行されました。

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 「現地調達」の名で強奪、敵軍に偽装して謀略、戦友を見捨てた悔恨、餓死兵を何百人も焼いたこと、衛生兵教育で行われた生体解剖などを元日本軍兵士、従軍看護婦二十五人が語っています。

 沖縄・宮古島での将校の元に「慰安婦」を連れていく任務について語った千葉県の高沢義人さんは、「戦前から反戦運動や女性解放運動をしてきた。女性の体を売り物にするなんて……。自分の内心とのたたかい。自分が生きるためでもつらかった」とこぶしを握り、静かに机をたたきました。

 多くの聴衆を前に加害の体験を語った鹿田正夫さんに寄せられた質問は、「証言は立派だが、なぜそんな残虐なことができたのか」でした。「納得できないかもしれないが、軍国主義という間違った教育を受け、一片の良心もない鬼だった。鬼になる過程がある。今の日本でも鬼になる可能性はある」。しばらく言葉を探し、やっと言えた鹿田さんの答えでした。

 証言者は共通して、戦後六十年たった今なお悲惨な体験が心の中に深く突き刺さったままだといいます。

 これまで家族にも言うことのなかった体験。その心境を山梨県の今津茂さんは、「憲法九条がかえられ、戦争をする国になろうとしている今、私の体験が、若い人たちが戦争の真実を知るきっかけになるのであればと意を決してお話ししました」と述べています。

 出版された本は、現在五刷で一万八千部を超える反響です。

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 「期待以上の内容の濃い中身でした。当時戦場のただ中にあった方たちが高齢で亡くなっていく中、こういう証言集は、ますます貴重になると存じます」(横浜市の六十八歳男性)などの感想が寄せられています。

 鳥取県の八十一歳男性は、「本書を読んでいまさらながら戦争の悲惨さを思い出しています。私もソ満国境(ロシアと中国の国境)での残虐な日本軍の中国人への行為を見てきました。二度と戦争をしてはいけない、憲法を改正してはいけない。最後の余生をふりしぼって叫びます」とつづっています。

 戦争体験者らでつくる「朝風の会」(会員・約百人)の谷田川和夫会長は、「私たちの会は、『我ら、戦争を忘れまい』の気持ちから、戦争体験の文集を発行しつづけて二十年になりました。先日、会員の集まりがあり、『元日本兵が語る』を紹介しました。戦争の真相を伝える貴重な体験集です。反戦・平和の歩みを続けてきた『赤旗』だからできたものと思います」と話します。(尾崎吉彦)


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