2006年7月6日(木)「しんぶん赤旗」

無法行為に抗議

北朝鮮 ミサイル発射

日本海に7発


 北朝鮮は五日未明から夕にかけて弾道ミサイル七発を発射しました。ミサイルは、ロシア沿海州南方の日本海に落下しました。日米両政府が発表しました。米政府は、このうち一発を、射程が長距離のテポドン2号としています。


 ミサイルは五日午前三時半ごろ、同四時ごろ、同五時ごろ、同七時十分ごろ、同三十分ごろ、同八時二十分ごろ、同午後五時三十分ごろの計七回発射されました。

 三発目がテポドン2号、それ以外の六発は中距離の「ノドン」か短距離の「スカッド」とみられています。防衛庁は、発射地点を、テポドン2号が北朝鮮北東部の咸鏡北道舞水端里のミサイル実験場、それ以外は南東部の江原道安辺郡としています。日本の領土内への落下物は確認されていません。

 ミサイル発射を受け、日本政府は安全保障会議を開き、安倍晋三官房長官が声明を発表。日本の安全保障上の「重大な問題」とし、「厳重に抗議し、遺憾の意を表明する」としました。その中で、「船舶・航空機の航行の安全に関する国際法上問題であると同時に、日朝平壌宣言にあるミサイル発射モラトリアム(凍結)にも反する疑いが強い」と批判しました。

 声明は、北朝鮮がミサイル発射モラトリアムを改めて確認し、六カ国協議へ早期かつ無条件に復帰することを求めました。また国連安全保障理事会への付託を求めることも決めました。

 政府はその後、特定船舶入港禁止法に基づき万景峰号の入港を半年間禁止することや北朝鮮当局者の入国制限など、九項目の制裁措置も決定。北朝鮮側の動きによっては、外国為替管理法に基づく送金規制など追加の制裁措置も検討する方針です。

 米国のハドリー大統領補佐官(国家安全保障担当)は同日(日本時間)の記者会見で、テポドン2号が発射後、四十秒で落下したことを指摘し、「失敗だった」と述べました。

 一方、北朝鮮外務省当局者は「軍の詳しい動きは関知していない」としつつも、「これはわが国の自主権に関する問題であり、他の国がその是非を問う権利はない」と述べ、発射を正当化する立場を示しています。


米・中・韓・ロ

いっせいに非難

 北朝鮮のミサイル発射に対し、各国はいっせいに同国を非難する声明を発表しました。北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議参加国は、これ以上の挑発的な行為をやめ、協議に復帰するよう北朝鮮に求めています。

 米ホワイトハウスは声明で、昨年九月の六カ国協議の共同声明を履行すべきだと呼び掛け、「わが国と同盟国を守るためにあらゆる必要な措置をとる」と強調しました。

 中国外務省の劉建超報道官は「重大な関心」を表明、「情勢の緊張と複雑化を招く行動をとらない」ことを求めました。

 韓国政府の声明は「北朝鮮は今回の発射によってもたらされる事態に対する責任を取るべきだ」とし、「北東アジアの軍備増強の口実を与える」と懸念。南北関係にも悪影響を与えると指摘しました。

 ロシア外務省は「核問題をめぐる状況を悪化させる」と非難しました。

 このほか、オーストラリア、ニュージーランド、タイ、シンガポールなどが北朝鮮を強く批判する声明を発表しました。

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