2006年7月5日(水)「しんぶん赤旗」
国公法弾圧・堀越事件
一審の誤りただしたい
堀越さん側、東京高裁に控訴
休日に自宅近くで「しんぶん赤旗」号外などのビラを配ったことで、国家公務員法違反(政治的行為の制限)に問われ、罰金十万円、執行猶予二年の判決を受けた社会保険庁職員の堀越明男さん(52)と同事件弁護団は四日、判決を不服として東京高裁に控訴しました。
東京地裁(毛利晴光裁判長)の不当な有罪判決(六月二十九日)は、堀越さんの行為が行政の中立性を侵害しないことを認めながら、「累積的、波及的効果を考えざるをえない」「予防的規制が合理的」などとして公務員の政治活動の禁止を「合憲」と判断。最も基本的な人権である表現の自由を事実上否定しました。
一方、大掛かりな尾行、ビデオ盗撮をした公安警察の捜査は「全体として適法」とし、憲法学者やメディアから批判が相次いでいます。罰金刑に執行猶予がついたことも「罪に問えないことを示した」と指摘されています。
主任弁護人の石崎和彦弁護士の話 地裁判決で、公安警察の違法捜査を認めた部分は明らかに事実と違っており、控訴審で全面的に争いたい。憲法判断では、なぜ公務員は中立性を要求されるのかの論証もなく、憲法が保障する自由の制限を当然視しており、根本的に誤っている。弁護側が指摘してきた猿払事件最高裁判決の矛盾点には、まったく答えがなかった。控訴審ではその根本的誤りを認めざるをえないように、つめていきたい。