2006年7月4日(火)「しんぶん赤旗」

主張

東大阪市長選

民主市政取り戻した市民の力


 大阪から全国に、うれしい知らせが届きました。

 東大阪市長選で、広範な市民が結集した「明るい東大阪をつくる会」の推す長尾淳三前市長が自民・公明両党推薦の現市長などを破り、四年ぶりに、「市民が主人公」の市政を取り戻したのです。長尾さんは日本共産党員で、人口五十一万人の大都市での日本共産党員市長の誕生です。

「現市政に不満」が七割

 東大阪市は、大阪市の東、河内平野のほぼど真ん中に位置する都市です。日本有数の、中小企業の多い町としても知られています。

 その東大阪市で、自民・公明が与党の当時の市長が逮捕され、清潔・公正な市政実現をと訴えた日本共産党市議の長尾さんが市民におされ市長に初当選したのは、八年前でした。一期目の四年間、長尾さんは利権に一切関与しないという政治信念を貫き、住民の立場に立った清潔・公正な市政は、市民からも「流れは確かに変わった」といわれました。

 二期目に挑戦した四年前の市長選挙では、自民・公明などの陣営が「共産市政では何もできない」などのデマ攻撃を浴びせかけ、長尾さんは残念ながら再選を果たすことはできませんでした。しかし、長尾さんがすすめた市政が決して市民の支持を失った結果でなかったことは、再挑戦した長尾さんが前回より得票率を伸ばして当選した、今回の選挙の結果にくっきりと現れています。

 前回当選した現職は、自民・公明などの市議会与党に支えられ、高齢者、障害者、女性など市民各層への市民サービスを次々切り捨て、長尾市政が同和行政の終結に向けて前進させた公正な市政を逆転させて、「解同」(部落解放同盟)いいなりに同和の不公平を拡大してきました。まさに市民無視のきわみです。

 「明るい東大阪をつくる会」が市民に呼びかけた市政アンケートでは、七割の市民が「現市政に不満」と答えています。市長選での現市長の得票は、前回より四割も減少しました。現市政への市民の厳しい審判が下されたことは明らかです。

 今回の市長選は、いま全国で大問題になっている、市民税(住民税)や国保税の大幅値上げ通知の時期とも重なり、小泉「構造改革」による国民負担増と、格差と貧困の拡大にたいする国民的な怨嗟(えんさ)が広がる中での選挙となりました。「年金は下がるのに、国保料、介護保険料、医療費の負担は増えるばかり。私たちに『死ね』ということなのか」―長尾さんに寄せられた東大阪市民の切実な声です。

 長尾さんは、こうした市民の怒りを受け止め、悪政に立ち向かい「くらしの活路を開く市政を」と力強く訴えてきました。当選直後、「市民の思いを形にできたことが何よりうれしい」と語った長尾さん。長尾さんをふたたび市長に押し上げたのは、切実な訴えを市政の転換に託した、東大阪市民の声であり、力です。

悪政の“防波堤”として

 いま全国でも小泉「構造改革」に対する国民の批判が高まり、負担増と格差の拡大が大問題になっています。地方自治体には、悪政から住民の暮らしを守る“防波堤”としての役割がいよいよ求められています。

 東大阪市長選の結果は、国政でも地方政治でも、自公の悪政と国民・住民との矛盾がますます抜き差しならないものになっていることを示すものです。国民の声を広げ、政治の流れを大きく変えていくたたかいを、国でも地方でも、いっそう前進させようではありませんか。


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