2006年7月3日(月)「しんぶん赤旗」
イラク戦を支持
共和党系の団体
正体隠し記事売り込み 米紙暴露
【ワシントン=山崎伸治】米共和党との関係の強いイラク戦争支持組織が、フリーの記者を装った元米兵にイラクから米軍寄りの記事を送らせ、米国の新聞社に売り込もうとしています。売り込みを受けたニューヨーク州の地方紙バファロー・ニューズが六月二十五日付で一部始終を暴露しました。
話を持ちかけたのは、ヘラルド・グループという宣伝会社代表のテイラー・グロス氏。
今年四月末、「イラク戦争の最前線で直接得た、偏らず信頼できる視点を提供する」というふれ込みでした。二人の記者がバグダッド、ファルージャ、ラマディ、モスルといった都市で「米兵やイラク軍、地元の住民にインタビュー」し、記事や解説、論説を送信し、同紙にはいっさい費用負担は求めないというものでした。
ところがこの二人は、イラク、アフガニスタンでの戦争を支持し、共和党とも関係の強い「自由のための退役軍人」という団体の幹部。いずれも共和党の政治家とのつながりが明らかになっています。グロス氏も昨年末まで、ホワイトハウスのマクレラン前報道官のもとで働いていました。
そうしたことは伏せたままの売り込みに、同紙は応じませんでした。グロス氏は少なくとも四つの主要紙に売り込んだといいますが、成功しませんでした。
公正な報道を求める民間団体「メディアと民主主義のセンター」のジョン・スタウバー事務局長は二十七日放送のラジオ番組で、「自由のための退役軍人」は「共和党のフロント組織(隠れみの)」で、イラクの占領継続を訴えていると指摘。今回の売り込みも「大掛かりな宣伝行動」の一環だと批判しました。