2006年7月3日(月)「しんぶん赤旗」

政府・与党の具体化進行

生活保護費の大幅カット

必要な費用 基準引き下げへ


 政府・与党が「歳出・歳入一体改革」の中で進める社会保障費削減で、生活保護制度の「見直し」=保護費の大幅カットが急テンポで具体化されています。七日にも小泉内閣がまとめる「骨太方針」に盛り込む予定ですが、国民の生存権にかかわる大問題です。

 政府・与党が「見直し」の対象にあげているのは、生活保護の中心をなす生活扶助と、母子家庭などひとり親世帯に支給される母子加算です。

母子加算廃止

 生活扶助とは、主に家族一人ひとりが支出する飲食費や衣類などの費用(第一類)と、家族全体で使う水光熱費や家具などの費用(第二類)です。扶助の基準は、一般国民の地域の消費水準等を参考にして決められます。

 この基準額は、すでに二〇〇五年度から、四人以上の世帯については、第一、第二類とも引き下げられました(三年間で5%削減)。

 今度の政府・与党の方針では「低所得世帯の消費実態等を踏まえた見直しを行う」としています。これまで、一般の国民の消費水準を参考にしていたものを「低所得世帯」に変えることで、より大幅な削減を行うものとみられます。

 母子加算は、もともとは十八歳(高校生)以下の子どもを養育するひとり親世帯に支給されていました。十六―十八歳の子どものみを養育するひとり親世帯への加算について、〇五年度から、三年間かけて削減。〇七年度からは廃止する予定です。

 政府・与党方針は、さらに母子加算全体についても、「廃止を含めた見直しを行う」としています。

 母子加算に先立ち、七十歳以上の高齢者に支給される老齢加算は、〇四年度から段階的に縮小され、廃止されました。

生存権を否定

 生活保護は、憲法二五条に明記された「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」=生存権を保障する制度です。国は「生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障する」(生活保護法第一条)という責任を負っています。

 生活保護をめぐり、一九五〇年代後半から六〇年代に争われた「朝日訴訟」の東京地裁判決では、生存権を保障するための「最低限度の水準は予算の有無によって決定されるものではなく、むしろこれ(予算)を指導支配すべきものである」と明快にのべました。財政問題を理由に、生活保護費を削減するのは、憲法違反そのものです。


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