2006年7月2日(日)「しんぶん赤旗」
140万人の生活窮地
イスラエル軍が発電所空爆のガザ
手術できず、水も不足
【クウェート市=松本眞志】イスラエル軍が六月二十七日にパレスチナ自治区ガザへの侵攻を開始して以来、人口百四十万人のガザ地区の生活基盤が破壊されました。カタールの衛星テレビ・アルジャジーラは三十日、空爆で発電所が破壊され、約七十万人のパレスチナ人が明かりのない生活を強いられていると報じています。
イスラエル軍は拉致された兵士の救出を侵攻の目的としており、作戦を続けています。
現地からの報道によれば、病院などの医療機関は特に深刻です。パレスチナ保健省のハリド・ラリ報道官は「ガザ地区最大のシファ病院や診療所の多くは、電気供給停止の結果、人工酸素が不足している。電気がなければ機能しない透析などに頼る腎臓病患者らに悪影響を及ぼす。医者は重要な手術や医療処置をほどこせなくなる」と語りました。
シファ病院に入院中の腎臓病患者のフダ・サアディさんは「週に二回人工透析を行っています。透析なしでは一週間ともちません」と訴えます。
パレスチナ人権センターのラジ・ソラニ医師は「発電所を標的とすることはガザ住民に対する集団的懲罰にひとしい。生活基盤の破壊はジュネーブ条約に違反する。今回の攻撃は拉致された兵士の救出が目的ではなく、ハマス政権の打倒が目的だ」と指摘しました。
電力供給の復旧には六カ月を要するといいます。ある人権活動家によると、電気の供給停止は、気温が上昇する夏の数カ月間、家や商店の冷蔵庫のなかの食料を腐敗させ、電動ポンプによる水の供給にも影響を与えるとしています。
イスラエル軍はガザ地区の住民が「攻撃」と錯覚することを狙い、衝撃波や爆音を響かせ、精神的に疲弊させる心理作戦も行っています。
ガザ地区北部に住むムハンマド・マスリさん(47)は「夜間、まったく人出がなくなった街は廃虚のようだ。子どもは攻撃の恐怖で狂ったように叫んでいる。なにより精神科医の支援が必要だ」と述べました。