2006年7月2日(日)「しんぶん赤旗」
靖国「米国でも不快感」
英メディアが報道
【ロンドン=岡崎衆史】小泉首相の訪米に関して英メディアは、首相の靖国神社参拝への米国での懸念の高まりに焦点を当てた報道をしています。
『エコノミスト』誌七月一―七日号は、日本側が当初模索した小泉首相による米議会での演説が実現せず、エルビス・プレスリーの旧宅「グレースランド」訪問となったことに言及。「場所の変更は、十四人のA級戦犯を含む戦死者をたたえる靖国神社を首相として五度訪問したことへの懸念から生じているとみられる。アジアでは日本への不信が極めて強まったが、それは米国でも存在する」と述べています。
さらに、「戦争中には多くの米兵が日本人に虐待された。また、米国の政策立案者たちは、日本の鈍感さが、台頭しつつある中国との関係構築を難しくしていると、いらだっている」と指摘しました。
フィナンシャル・タイムズ紙六月三十日付は、グレースランドと靖国神社がともに「真実を語ってはいない」として、両者の共通性に言及。グレースランドはプレスリーの薬物中毒や肥満に触れるのを避けており、靖国神社については、同神社と遊就館が「日本兵が栄誉に満ちた解放者や犠牲者であり、侵略者ではないとする、桜の花のように美化された歴史観を訪問者に示している」と告発しました。
さらに遊就館の展示について、「南京大虐殺を解放として展示し、日本の化学兵器使用や人体実験、韓国人の性的奴隷(従軍慰安婦)は省かれている。パールハーバー爆撃は…連合国の封鎖で強いられたとしている」と述べ、こうした歴史観に、中国や韓国だけでなく米国の政府当局者も「不快感を感じている」と述べています。