2006年7月1日(土)「しんぶん赤旗」
診療報酬改定
リハビリ打ち切りは非人間的
厚労省に署名44万
「必要なリハビリを打ち切ることは生存権の侵害です」――四月の診療報酬改定で、医療保険を使ったリハビリテーションに最長百八十日間の日数制限を設けた問題で、患者、家族、医師らでつくる「リハビリ診療報酬改定を考える会」(呼びかけ人代表・多田富雄東大名誉教授)は三十日、日数制限の撤廃を求め、四十四万人分を超える署名を厚生労働省に提出しました。
政府の医療費削減政策の下で決められた新診療報酬では、リハビリ医療を「脳血管疾患」「運動器疾患」「呼吸器疾患」「心血管疾患」の四つに区分。それぞれ発症から百八十日、百五十日、九十日、百五十日という上限をつけ、日数を超えるリハビリは受けることができなくしました。このため全国各地で、リハビリ医療を必要としている患者の治療が打ち切られる事態が続発しました。
署名提出には約二十人が参加。脳こうそくで倒れ、右半身まひや発声困難になり、現在リハビリ治療を続けている多田代表が車いすでかけつけ、パソコン音声を通じて要請文を朗読し、「リハビリは、単なる機能回復ではありません。社会復帰を含めた人間の尊厳の回復なのです。リハビリ打ち切り制度は、人間の尊厳を踏みにじるもの」「非人間的で乱暴な改定は白紙撤回を」と訴えました。厚労省の担当者は「二年後の改定にいかす」とのべるだけで、上限撤廃はできない、という答えに終始しました。
「考える会」呼びかけ人のひとりである道免和久兵庫医科大教授(リハビリテーション医学、医師)は「今後も、リハビリが打ち切られ、悲惨な状況が全国各地で起こることが予想される。二年間も待てない」とのべ、一日も早い上限日数の撤廃を求めました。