2006年6月30日(金)「しんぶん赤旗」
NHKへの介入 憲法違反
自民議員の質問 研究者ら撤回要求
国会審議でNHKに「国旗・国歌」を毎日放送することを強要した自民党・柏村武昭参院議員に対し二十九日、研究者・ジャーナリスト・市民有志が、憲法二一条、放送法一条、三条に違反するとして、発言の撤回・訂正を求める申し入れをしました。九百九十六人分の賛同署名も合わせて提出しました。
柏村議員の発言は、十五日の参院総務委員会で行われたもので、東京都の「国旗・国歌」の強制をテーマにした「クローズアップ現代」(昨年三月放送)についても「偏向」攻撃をしていました。
申し入れ後の会見には、呼びかけ人の桂敬一さん(日本ジャーナリスト会議会員、立正大学講師)、松田浩さん(ジャーナリズム研究者)ら十一人が出席しました。
桂さんは、「言論表現の根幹にかかわる問題である」とし、「国会議員には憲法尊重擁護の義務があるのに、憲法無視が当たり前になっていいのか。ETV番組の政治介入は事前検閲、柏村議員の場合は事後検閲だ」と語りました。
松田さんも「密室で行われていた政治介入が、公然と行われるようになった」と指摘します。
「日の丸・君が代」強制反対・嘱託不採用撤回を求める会の新井史子さんは、「都立高校の現場では『日の丸・君が代』が踏み絵になっていて、教員は窒息寸前」と話しました。
「議員の発言・表決の無責任」を定めた憲法五一条との兼ね合いで、柏村議員に法的責任は問えるのかとの問いに、田島泰彦・上智大学教員は、「法的責任は難しいが、政治的倫理的責任を院内外で追及することはできる」と話しました。
呼びかけ人の醍醐聰・東京大学教員らは、衆参総務委員長の国会事務所も訪ね、所属委員に国会質問に名を借りた言論弾圧を慎むことを徹底するよう申し入れました。