2006年6月28日(水)「しんぶん赤旗」

辞任しかない これだけの理由

福井日銀総裁


 村上ファンドに投資し、利益をあげていた日銀の福井俊彦総裁の進退が大きな問題になっています。政府・与党は、日銀の「内規」見直しで幕引きをはかろうとしていますが、福井総裁は辞任するしかありません。

自分だけ大もうけ

 福井総裁は一九九九年から村上ファンドに一千万円を投資。二〇〇三年の日銀総裁就任後も解約せず、約六年間で千五百万円近い巨額の利益を手にしました。

 仮に同じ一千万円を一年間銀行に預けても、日銀の政策で限りなくゼロに近い金利に抑えられているため、普通預金の利息は百円にすぎません。

 庶民には「ゼロ」金利を押し付けていた張本人が“ぬれ手であわ”で、ばく大な利益を得ていたのです。これだけでも日銀の信頼を失墜させる行為です。

 「元日銀副総裁」の肩書で村上ファンドのアドバイザリーボード(経営諮問委員会)のメンバーを務めるなど広告塔だった責任も問われています。

緩和解除前に解約

 日銀は〇一年三月から市場にお金をじゃぶじゃぶ供給する金融の量的緩和を行ってきました。福井総裁はその目標値を大幅に拡大。金余り状態をつくり企業を売り買いの対象にしたマネーゲームを横行させました。量的緩和を解除したのは、今年三月になってからです。

 福井総裁は、その一カ月前に村上ファンドとの契約解除を申し入れています。量的緩和解除による株価下落を予測した解約なら「究極のインサイダー取引」ではないかとの疑惑も指摘されています。

内規にも反し利殖

 日銀の内規である「日本銀行員の心得」は、「世間から些(いささ)かなりとも疑念を抱かれることが予想される場合には…個人的利殖行為は慎まなければならない」と定めています。福井総裁がこの規定の精神に反していることは明らかです。

 マネーゲームによる私的利益の追求を目的とするファンドに出資し、ばく大な利益を得ていたのに「勇気ある青年を激励するため」出資したとか「利殖を意図していない」(十六日の国会答弁)という言い訳が果たして通用するのでしょうか。

 実際、福井氏は国民の批判の前に、二十二日の国会では「振り返って高利回りの利殖に走ったとの批判はもっともであり、深く反省している」と答弁を変更しています。

矛盾多い国会答弁

 国会答弁のつじつまがあわないことも国民の不信を増大させています。

 福井氏は、十三日の国会で「運用益はキャッシュアウト(現金化)していない」と答弁していましたが、後に国会に提出した資料で〇一年に分配金二百四十二万円を受け取っていたことが判明。

 「あまり大した額ではない」(十三日)と述べていた運用益も、前述のように国民の常識とは、かけ離れた額でした。

 他に所有している株も「凍結している」と答弁(十五日)しましたが、ただ売買せず保有しているというだけでした。

 早くから明確に福井総裁の辞任を要求している日本共産党をはじめ野党四党は二十四日の党首会談で即時辞任を求めることで合意しています。これだけの問題があったら辞任が当然です。


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