2006年6月28日(水)「しんぶん赤旗」
請負社員は労働者
都労委 組合つぶし“やめよ”
「ナック」の不当労働行為認定
社長ら役員が労働組合つぶしに狂奔し、執拗(しつよう)に組合員の脱退工作を行っていたナック(本社東京都新宿区、寺岡豊彦社長)に対して、東京都労働委員会は二十七日、不当労働行為と認定、労働組合の存在を否定して組合からの脱退をすすめてはならないとする命令を出しました。請負契約で働かされている社員の労働者性を認める画期的な判断です。
ナックはダスキン事業(清掃用品のレンタル)や飲料水の製造販売など多角経営で急成長する東証一部の上場企業。会長の西山由之氏は日本経団連の理事。従業員千七百人の半数が外務員と呼ばれる個人請負契約などで働く非正規社員です。
非正規社員は労働者ではないとして無権利状態に置かれ、車のリース料を個人負担にして月十万円も減収するような契約内容の改悪がまかり通っています。
救済を申し立てていたのは、建交労(全日本建設交運一般労働組合)都本部、同南部支部、同ナック分会の各委員長。
昨年十一月に非正規社員を中心にナック分会を結成。ところが会社側は「寺岡(社長)の敵は許さない」「建交労という組合は絶対に許さない」「断固排除する」などと組合の壊滅を叫び、社長、専務が組合員の自宅にまで押しかけ、組合脱退を強要しました。
建交労は、十二月六日に都労委に不当労働行為の救済申し立てをしていました。
命令は、請負契約社員の労働者性にも言及。「会社組織や業務運営に組み込まれているだけでなく、会社の受諾業務に専属的に従事しており、その結果受領する報酬は労務提供に対する対価とみざるを得ないのであるから、労働組合法上の労働者と認めることができる」とする画期的な判断をしています。
実態は労働者そのものでありながら、「個人請負事業主」として働かされている労働者が急増しています。命令は、こうした脱法的な実態を変える上で、大きな影響を与えそうです。
ナック分会の三宅暁委員長は「訴えが認められて本当にうれしい。会社のやってきたことがおかしいということが明らかになった。会社の攻撃を恐れて組合に入りたくても入れない人がたくさんいる。これからは堂々と組合員を増やし、労働条件の改善のためにがんばりたい」と話します。
請負契約社員 企業と雇用関係をもたない個人請負の契約労働者をいいます。企業が労働保険や社会保険の加入などを免れるための手段になっています。雇用労働者と変わらない仕事をしながら労働者としての法的保護を受けられない状態にあり、問題になっています。