2006年6月27日(火)「しんぶん赤旗」

たしかな野党ここに(8)

通常国会から 臨時国会へ

格差拡大

雇用規制緩和の誤りつく


 「総裁選では格差問題がテーマになるのではないか」

 安倍晋三官房長官は五月二十一日、札幌での再チャレンジ・タウンミーティング後の記者会見でこう発言しました。六月二日には再チャレンジ支援議員連盟が旗揚げし、安倍氏も出席しました。自民党総裁選でも格差問題の取り組みをアピールする狙いです。

 引き続き政局の焦点となっている格差問題。通常国会では冒頭から「小泉構造改革」の破たんを示すものとしてクローズアップされ、各党の態度が問われました。

 「首相の目には貧困と格差のなかで苦しむ庶民の姿は目に入らないのか」(一月二十四日衆院本会議)。

 論戦の口火を切った衆院代表質問で日本共産党の志位和夫委員長は、「所得格差の拡大は確認されない」と、しらを切る小泉純一郎首相を厳しく批判しました。与党からも格差拡大への批判、懸念の声が上がり、事実を否定しきれなくなった首相は「格差が悪いとは思わない」と開き直りました。

 日本共産党は、格差拡大の根本原因に労働法制の規制緩和があることを繰り返し指摘しました。

 志位委員長 労働者の三人に一人、若者の二人に一人は不安定雇用のもとにおかれ、その八割は月収二十万円未満という極端な低賃金です。格差社会と貧困の広がりの根本に派遣労働の自由化など小泉政権の進めた規制緩和万能路線がある。(同前)

 ところが、自民党は中川秀直政調会長を先頭に、「構造改革」で正社員が増えたと、黒を白と言いくるめようとしました。日本共産党は、自民党が増えたという正社員の中には、正社員並みに働く派遣・契約社員も含まれていることを解明し、自民党もそれ以上持ち出せなくなりました。

 一方、民主党も格差拡大を小泉内閣の失政だと批判しましたが、対策は「同一労働同一賃金」を強調するだけで、この間の規制緩和を一切批判しません。それもそのはず、一九九〇年代からの労働法制の規制緩和に民主党と自由党(当時、その後民主党と合併)はほとんど賛成してきたのです(表)。

(表)労働法制の規制緩和と各党の態度(×…反対、○…賛成)
法成立 内容 共産 自民 公明 民主 自由 社民
1999年 労働者派遣を原則自由化 ×
有料職業紹介を解禁 ×
2003年 有期雇用の上限を1年から3年へ × ×
製造業務への派遣労働を解禁 × × × ×

 「派遣労働者の賃金と派遣先の労働者との均衡を図ることは…(雇用主が違うので)正直言って難しい問題を秘めている」。四月二十七日の参院厚労委員会で、民主党議員に対し川崎二郎厚労相はこう本音を漏らしました。派遣労働者の拡大に手を貸しながら、同一労働同一賃金を求めても説得力はありません。

 「派遣(請負)の人たちは苦しんでいます。共産党だけが頼りです」。派遣会社の八割が違法行為をおこなっていると政府に取り締まりを迫った佐々木憲昭衆院議員(二月七日)や、派遣最大手のクリスタルグループの「違法行為は許される」とした内部文書を暴露した大門実紀史参院議員(三月二十四日)など、日本共産党の質問には多くの共感のメールや電話が寄せられました。

 笠井亮衆院議員は、首都圏青年ユニオンとの懇談などを通じて青年の労働実態を調べ、「十九世紀にタイムスリップしたようだ」と告発(三月一日)。労働法制の基礎知識を青年に知らせる小冊子(長野県が作成)を示し広報活動の強化を求めました。小坂憲次文科相は「全国的にも普及されるべきだ」と答弁しました。

 傍聴した同ユニオンの青年たちは「自分たちの思いをいってくれた」「あの答弁は団体交渉でそのまま使える」と、たたかいの成果に確信を強めていました。(北村隆志)

(つづく)


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