2006年6月26日(月)「しんぶん赤旗」
あまくさ九条の会が結成1周年
高校生演劇で戦争が身近に
熊本県天草地方で活動する、あまくさ九条の会は二十五日、「結成一周年の集い」を本渡市内で開き、「天草を平和の島に」をテーマにシンポジウムと演劇を上演しました。シンポでは、中央キリスト教会の南圭生さんをはじめ地元在住の五氏が、天草の歴史と風土に根ざした平和の天草めざし、多面的に論議しました。
上演された演劇は、地元の苓明(れいめい)高校演劇部の「椰子(やし)の実の歌がきこえる」。会場の市民ホールを埋めた三百人の市民に感動を与えました。
演劇は、劇作家・瓜生正美さんの原作を、同高校の福山節子教諭が高校演劇大会向けにアレンジしました。
戦死より餓死が多かった戦地・ガダルカナル。生き残った日本兵を父親にもつ天草の高校生らが、父親の戦友が変死したことから父親たちの「戦争体験」があぶりだされる物語。「従軍慰安婦」を抱き、生きた兵の肉を食べて餓死をしのいだと…。演劇部は、役作りのために、図書館での資料集めのほか、地元の戦争体験者からの聞き取り調査をしたといいます。
劇中で、高校生役の生徒が会場に向かって「あなたは、戦争体験を伝える責任があるんです」と訴えるセリフも飛び出しました。
劇をみた苓明高二年の男子生徒は「劇はうまかった。『戦争』って知っているつもりだったけど、生きた人の肉を食べたりと、こんなにむごいんだと初めて知った。じいちゃんもそうかなと思ったり。九条の大切さもこれから考えたい」と話していました。