2006年6月25日(日)「しんぶん赤旗」
マンション再建決議
GS池上
耐震偽装初の住民決定
元一級建築士の姉歯秀次被告による耐震偽装マンションのグランドステージ池上(東京都大田区)の住民が二十四日午後、区分所有法にもとづくマンション再建の住民集会を開き、総額約八億円で再建を決議しました。耐震偽装マンションの再建を住民が決定したのは初めて。マンション建て替えの円滑化等に関する法律にもとづく組合を結成して、八月以降に解体工事に着手。二〇〇八年二月の入居を予定しています。
集会後、記者会見したグランドステージ池上管理組合の日吉和彦理事長は「決議をおこなうことができ、支援に感謝する。広い部屋をあきらめて、狭い部屋の低層階にいく住民もいる」と複雑な心境を語りました。
再建計画では、九階建て二十四戸を同二十六戸に建て替えます。住民と大田区、NPO法人・密集住宅地区整備促進協議会の三者で検討してきました。二十三人の住民のうち、二十二人が賛成して決議しました。
行政支援や制度を活用しても、住民負担は二重ローンとしてのし掛かってきます。一戸あたり平均のローン残高は約三千五百万円。試算によると、あらたな住民負担額は、高層階百平方メートルでほぼ同じ広さのままで約千八百万円、中層階は九十平方メートルで約千二百五十万円、低層階は七十五平方メートルで約五百万円。
同協議会の田村文男専務理事は「住民の一番の心配ごとは二重ローンだった。何度も相談してきた。この事件の最大の被害者が子ども、高齢者、病弱な人たちだったことに改めて気付かされた。子どもの寄せ書きが退去したあとの部屋で見つかり、胸が痛くなった」と語り、残された課題の解決にあたることを表明しました。