2006年6月24日(土)「しんぶん赤旗」

安保理理事国に立候補

米が反対、各国に圧力

ベネズエラ


 米国の政治的、経済的横暴を批判する急先ぽうに立ってきたベネズエラが、国連安保理の非常任理事国に立候補しました。これに反対する米政府の圧力の強まりは、各国から反発を招き、米国離れをさらに加速させる事態となっています。


中南米など「干渉」と反発

 「ワシントンはチリへのF16戦闘機の売却で合意した。ところが、チリ政府がベネズエラの理事国入りを支持するなら、チリのパイロットは操縦訓練を受けられないと、米国は警告している」。米紙ロサンゼルス・タイムズ十九日付に紹介されたある外交官の証言です。“商品は売るが、言うことを聞かなければ使い方は教えない”という理不尽なやり方です。

 米国はベネズエラのチャベス政権を地域の「不安定化要因」と非難してきました。ベネズエラの安保理入りを阻むために、米国は対立候補として中米の親米国グアテマラを推したて支持を呼び掛けています。シャノン米国務次官補は、国連の平和維持軍への参加などで貢献してきたグアテマラこそ理事国にふさわしいと説明します。

 報道によれば、ベネズエラ支持は南米南部のメルコスル諸国やカリブ海諸国。一方、グアテマラを支持するのは、米国の影響力の強いメキシコ、コロンビア、ペルー、そして中米諸国です。

 チリは大勢を決める態度未決定国。そのため激しい圧力を受けていますが、「米国の緊密な同盟国」といわれるこの国からも強い反発の動きが起こっています。

 フォックスレイ外相は、地域各国全体の合意での選出を主張してきましたが、バチェレ大統領は二十日、暫定的な判断としてベネズエラ支持の方向を示しました。

 すると翌二十一日、チリ上院では親米的な野党議員が、外相見解支持、ベネズエラ反対の決議案を提出。米国の差し金と思われる策動でしたが、反論が相次ぎ、この決議案は否決されました。

 米紙マイアミ・ヘラルド四月十九日付は、ベネズエラがアフリカ大陸にブラジル、キューバに次いで多くの大使館を持ち、世界的な外交力、価格の安い石油供給や人道的な医療支援を通じた大きな影響力を発揮していることから判断して、こうした力を持たない「グアテマラ勝利の可能性はほとんどない」と指摘していました。

 中米諸国の多くもエネルギー協定をベネズエラと結んでいます。ホンジュラス外務省は二十日、この協定に難癖をつけた米大使館関係者の行為は「内政干渉」だと真っ向から反論する声明を発表しました。(党国際局・菅原啓)


 国連安保理の非常任理事国 安保理の非常任理事国は十カ国。そのうち二カ国がラテンアメリカからの選出で、二年ごとに一カ国ずつ改選されます。現在はペルーとアルゼンチン。今年いっぱいでアルゼンチンの任期が切れます。慣例では、地域の事前協議で合意された国が統一候補として総会で承認を受けます。十月の改選時までに統一候補がまとまらなければ、総会で全加盟国の投票により決定されることになります。


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