2006年6月24日(土)「しんぶん赤旗」
村上前代表を起訴
インサイダー株取引
「村上ファンド」のインサイダー取引事件で、ライブドアによる大量買い占め情報を発表前に知りながらニッポン放送株を取得したとして、東京地検特捜部は二十三日、証券取引法違反罪で、同ファンド前代表村上世彰容疑者(46)と、法人としての投資顧問会社「MACアセットマネジメント」(五月廃業届)を起訴しました。
村上容疑者は「二○○四年十一月八日の時点で、ライブドア側から情報を聞き、株買い占めが実現すると思った」との趣旨の供述をしており、情報を知った後の同放送株買い付けも「利益目的だった」として、全面的に容疑を認めたといいます。
起訴状などによると、村上容疑者は○四年十一月八日、ライブドア前社長堀江貴文被告(33)ら同社幹部から、ニッポン放送株の大量買い占め方針を伝えられ、発表前の同月九日から○五年一月二十六日までの間、同放送株約百九十三万株を約百億円で買い付けました。
ライブドアは同年二月八日、時間外取引などによる大量取得の結果、約35%のニッポン放送株を保有したと発表、同放送の株価は急騰しました。
村上容疑者は同日時点で、同放送株の19%に当たる約六百三十万株を保有。同日のライブドアとの時間外取引で計三百二十八万株を売却したほか、八千八百円という発表後の最高値を付けた同十日に百数十万株を市場で売却するなどして保有株の大半を売り抜け、百億円を超える利益を得ました。このうち、不正取得分の株売却益は約三十億円。インサイダー取引事件では過去最高額といいます。
錬金の構図
生みの親 宮内オリツクス会長
広告塔 福井日銀総裁
村上ファンドの前代表、村上世彰容疑者が起訴されたことで、同ファンドの“生みの親”であるオリックスの宮内義彦会長や、広告塔の役割を果たした日銀の福井俊彦総裁の責任も問われています。
オリックスは、村上ファンドの中核会社だった「MACアセットマネジメント」に資本金の45%を出資。村上容疑者が五日に逮捕される直前まで取締役を派遣しつづけていました。村上ファンドへの投資額は二百億円にのぼり、毎年数十億円の運用益が転がりこんでいたとみられています。
日本共産党の佐々木憲昭議員が二十二日の衆院財務金融委員会で明らかにしたように、オリックスは村上ファンドの一部である「アクティビスト投資事業組合」への出資者が出資する際の契約先になっており、「業務執行組合員」として手数料(運用資金の2%)が自動的に手に入る仕組みになっていました。
一方、MACアセットマネジメントのアドバイザリーボード(経営諮問委員)だった日銀の福井総裁。「たいした額でない」といいながら、運用益と分配金あわせると、千五百万円近い利益があがっています。
村上容疑者が手にした不当な利益の一部が、オリックスや福井総裁にわたっていたことになり、「起訴事実に関して全く関与していない」(オリックス)などという姿勢は許されません。(藤沢忠明)
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