2006年6月23日(金)「しんぶん赤旗」
英の独自核戦力堅持
ブレア首相後継者 反核団体が反発
【ロンドン=岡崎衆史】ブラウン英財務相は二十一日、ロンドン市内で演説し、英国の独自核戦力を将来も維持していくことを表明しました。英国では潜水艦発射弾道ミサイル・トライデントからなる核戦力が二〇二四年までに退役となるため、政府は後継システム導入を目指し、国民的な議論を呼びかけていました。
ブラウン財務相は、次回総選挙前に辞任することを明らかにしているブレア首相の後継者。財務相の発言は、同氏が引き継ぐ新労働党政権も、トライデント・システムの更新を進めることを国民の前に明らかにしたものです。政府は、トライデント更新の決定を来年にも行う予定です。
ブラウン氏は演説で、英国が外交政策で重視する事柄として「テロとのたたかい、北大西洋条約機構(NATO)の堅持、英国内外での英軍の活動への支持、英国独自の核抑止力の維持」を挙げました。
ブラウン氏の演説に対して、核軍縮運動(CND)のハドソン議長は、英BBC放送で、「二百五十億ポンド(約五兆三千億円)とも言われる極めて異常な額の予算が必要。しかも現在の安全保障上の脅威から国民を守る上で何の役にもたたない」と批判。さらに、新たな軍拡競争を引き起こす可能性を指摘し、懸念を表明しました。
同日の下院審議では労働党のゴードン・プレンティス議員が「国会議決なしで多額の予算が新世代核兵器に浪費されれば、(国民の)怒りが大きく広がる」と政府に迫りました。これに対し、ブレア首相は、徹底した議論を約束、核兵器システム更新は国会議決で決定することを表明しました。