2006年6月23日(金)「しんぶん赤旗」
北朝鮮人権法
「『脱北者』支援は問題」だが
「民主党の顔を立てて…」
立法化の内幕 自民議員告白
通常国会最終盤の十六日に自民、公明、民主の賛成で成立した北朝鮮人権侵害問題対処法に関し、立法の中心メンバーが自身のホームページで、「脱北者」支援をめぐる問題点と内幕を明らかにしています。
「告白」しているのは、自民党の葉梨康弘衆院議員。「脱北者」支援に言及しない与党案にたいし、民主党が支援明記の対案を出したことに、「我々の法案とはまったく別、北朝鮮から脱出したいわゆる脱北者を日本に受け入れ、金正日政権の弱体化を図ろうという『本気なの?』という中身だった」「私自身、このような法制は、ちょっと非現実的で、政策的にも問題ありと思ったことも事実」とのべています。
葉梨氏は理由として、「国民の理解が得られるだろうか?」とのべたうえで、国際的な影響の問題もあげました。同氏は、拉致問題解決ではとくに韓国との連携が重要だが、脱北者を支援した場合、北朝鮮にたいする「太陽政策」を取る韓国政府の反発は想像に難くないとのべ、「なぜなら、朝鮮籍の『脱北者』の問題は、日本籍の方が被害者となった『拉致問題』とは、全く別個の問題だからだ」「今、本気で拉致問題を解決したいのであれば、言わずもがなのことを法案に書くべきとは思えない」としています。
さらに葉梨氏は法的な問題もあるとして、「脱北者に対しては、人道上の見地から、必要な支援を行っていくべきと考えているが、その具体的な仕組みの構築には、やはり、現在の『出入国管理・難民認定法』の世界と、丹念な調整を行っていくことが必要と思う」と指摘しています。
さまざまな問題点をあげながらも、葉梨氏は結局は「民主党の顔を立てて微調整をおこない、やっと法案成立にこぎつけた」というのですから、自民党の態度が厳しく問われます。
日本共産党は、この法案が、北朝鮮の内政にかかわる「脱北者」問題を、まったく次元の異なる拉致問題と同列に扱い「施策を講ずる」としており、内政干渉にあたること、また、拉致問題の解決にとって決定的に重要な関係国の協力関係を損なう恐れがあることなどを理由に反対しました。