2006年6月20日(火)「しんぶん赤旗」
米軍が空爆8人死亡
ファルージャ 女性ら負傷
イラク 首都ではテロひん発
【カイロ=松本眞志】イラクでは首都バグダッドや西部のアンバル州の都市ラマディ、ファルージャで、米軍とイラク軍による大規模な軍事作戦が行われています。カタールの衛星テレビ・アルジャジーラが十八日に報じたところによると、同日未明、ファルージャ近郊の村に対して米軍が空爆を実施。八人が死亡、女性や子どもを含む六人以上が負傷しました。
サウジアラビア紙アルジャジーラ同日付は、米軍がこの空爆後にヘリコプターで戦車や兵士を村に降ろし、兵士らが女性や子どもを脅して家屋や家具を破壊、十人の市民を拘束したと報じています。
米軍とイラク軍が五万七千人以上の規模で武装勢力の掃討作戦を行っている首都バグダッドでは、武装グループによる検問所を狙った爆弾テロや拉致、暴力が後を絶ちません。十八日にはバグダッドの北西地区で製パン工場の労働者十人が拉致され、拷問後に射殺されたとみられる十人の遺体が発見されました。前日の十七日には、市の周辺を含めた爆弾テロで四十五人の市民が死亡、アルカイダ系の武装グループが犯行を主張しています。
米軍による一連の軍事行動に対し、イラク新政府から批判の声が出ています。イラク紙アッザマン十八日付によると、イラク国民議会のマフムード・マシュハダニ議長は「イラク人は(二〇〇四年の)ファルージャ作戦のような失敗を再びみるのを好まない。イラク人の血が流れるのはもうたくさんだ」と述べ、ケーシー駐イラク米軍司令官に対して、治安回復のために軍事作戦以外の方法を探求するよう要求しました。
「救急車入れない」 ラマディ住民
【カイロ=松本眞志】ラマディ市に住むイラク人のジャーナリストのモアン氏は十九日、本紙の電話インタビューに応じ、同市の現状を次のように語りました。
今日の午前六時ごろ、米軍は拡声器を使ってラマディ市のマラブ地区を制圧したと報じた。人々は外出を控えており、正午すぎには外にはほとんどだれもいなくなった。頭上には米軍機やヘリコプターが飛んでいる。米軍は大通りをバリケードで封鎖して街の機能を停止させた。人々は仕事ができないだけでなく、負傷者や臨月の女性がいても救急車が入れない状況だ。
一週間前、戦闘を恐れて多くの人々が街から出て行ったが、行くところがなくすぐに戻ってきた。いまでは、電気も使えず、二―三日間断水で、電話線も切られ、衛星通信による電話の使用だけが可能だ。商店はすべて閉まり、燃料用のガソリンもない。連日、米軍と武装グループとの戦闘が続いている。米軍は家を襲い、家屋を破壊して市民を拘束する作戦を実施している。午後八時以降は、外出している人は誰もいない。