2006年6月19日(月)「しんぶん赤旗」
「真の脅威」は温暖化や軍拡
英シンクタンク報告書
「対テロ戦争」は焦点そらす
英国のシンクタンク「オックスフォード・リサーチ・グループ」は十八日までに、二十一世紀に人類が直面する「真の脅威」は地球温暖化や軍拡であり、米英両国が強行する「対テロ戦争」は、これらの「真の脅威」から人々の目をそらせていると批判する報告書を発表しました。
「地球規模の脅威への地球規模の対応―二十一世紀の持続可能な安全保障」と題された報告は、英国の代表的な平和学者のポール・ロジャーズ・ブラッドフォード大学教授らが執筆しました。
今日の世界の紛争の根源、将来の紛争の決定要因として、(1)地球温暖化(2)石油や水などの資源をめぐる競争(3)格差拡大やエイズのまん延などで世界の多数の人々が社会の進歩から取り残されている状態(4)地球規模の軍事化―を挙げています。
このうち(4)については、「核兵器の近代化と拡散により、(戦後)六十年間保たれてきた敷居が壊され、戦争での核兵器の限定使用の危険が高まっている」と警告しています。
報告は、米国が国際テロリズムを最大の脅威とみなし莫大(ばくだい)な資金を「対テロ戦争」にあてているが、9・11テロが起きた二〇〇一年でも、テロ犠牲者の五倍の一万四千人の米国人がエイズで亡くなり、七十万人以上が心臓病で死亡していると指摘。「対テロ戦争」偏重のために「より広範な脅威」が無視される結果、テロの危険は逆に増大していると述べています。
報告は、「真の脅威の諸問題が相互に関連している」ことが重要だとし各国政府も市民運動も、環境、安全保障、貧困根絶などの問題を結びつけて対処すべきだと訴えています。