2006年6月18日(日)「しんぶん赤旗」

改悪医療法

生きているときは負担増

死後は埋葬料減額

政府、国会で説明できず


 自民、公明両党が通常国会で強行した改悪医療法では、出産育児一時金を今年十月から五万円引き上げ、三十五万円にします。しかし、これは被保険者の死亡時に支給される埋葬料の大幅削減を「財源」としたものです。世代間対立をあおり、国民に「痛み」を押しつける自公・小泉内閣の手法が、ここにも表れています。

 埋葬料は、一九二二年に制度がつくられ、被用者保険(政府管掌健康保険、組合健保、共済組合など)の被保険者が死亡した場合に、葬祭費用の一部として支給されています。本人が死亡した場合は標準報酬月額(ほぼ月給と同額)の一カ月分、家族の場合は〇・七カ月分となっています。

 今回の改悪法では、これを大幅に引き下げ、今年十月から一律五万円とします。これにより、埋葬料の支給額は全体で年間三百二十一億円も削減されることになります。

 十三日の参院厚生労働委員会で、日本共産党の小池晃議員が「その理由はなぜか」とただしたのにたいし、厚労省の水田邦雄保険局長は「埋葬に要する費用自体は必ずしも報酬に比例しない」「国民健康保険における葬祭費の平均額が約五万円」と答弁。制度発足から八十年を超える大きな改変にもかかわらず、まともに理由を説明できませんでした。

 厚労省が昨年十月に発表した「医療制度構造改革試案」では、埋葬料を、「一律十万円」としていました。十二月に政府・与党がまとめた「医療制度改革大綱」で、出産育児一時金引き上げを実現することと引きかえに、埋葬料がさらに五万円減額されました。

 「医療費適正化の名で、葬儀や病気など暮らしの基本、一番深刻なときにかかる給付も切り捨てる、安心料さえむしり取るというやり方は容認できない」と厳しく批判した小池氏。患者負担増で高齢者の生存権を侵害したうえ、死亡後の葬儀代まで容赦なく削るところに、社会保障改悪に終始した自公・小泉内閣の国民の「痛み」への無感覚さが示されています。


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