2006年6月15日(木)「しんぶん赤旗」

主張

医療改悪法成立

命を守る国民の力これからも


 高齢者・国民に負担増を強いるとともに保険のきかない医療を拡大する、医療制度改悪法が成立しました。自民党、公明党が数の力で押し切りました。

 「いま三割負担です。七十歳になったら一割負担になると楽しみにしていたのに、二割負担になるんですか」(大阪・茨木市で六十九歳の女性。本紙・地方版から)と、改悪反対署名に願いを託した国民は約二千万人にのぼります。国民世論にも背を向け、衆院でも参院でも審議を打ち切り、採決を強行した与党に抗議します。改悪法を撤回し負担増を中止すべきです。

具体化を許さない

 改悪法は成立しても、たたかいは続いています。

 参考人からも公述人からも怒りの声が集中した療養病床の二十三万床の削減は、六年がかりで実施するとしています。

 その先取りとして政府は、この七月、診療報酬を改定しようとしています。療養病床の入院患者の半数を「医療の必要度が低い」と決めつけ、保険から医療機関に支払われる診療報酬の評価を引き下げ、医療機関の経営を困難にして、患者の退院につなげようとねらっています。十月からは、療養病床の食費・居住費の自己負担化が始まります。約三万円の負担増が患者と家族にのしかかり、経済的困難から退院を余儀なくされる恐れがあります。負担増ばかりか、必要な医療を奪われ、行き場をなくす高齢者が出ないようにするとりくみは、差し迫った課題です。

 「現役並み所得」の高齢者の窓口負担の引き上げ(二割から三割へ)は今年十月実施、また、「現役並み所得者」を除く七十―七十四歳の引き上げ(一割から二割へ)は二〇〇八年四月実施とされています。

 さらに、七十五歳以上(障害のある人は六十五歳から)を対象に創設される高齢者医療制度も、〇八年四月の実施とされています。これまで扶養家族として保険料を支払う必要のなかった高齢者を含め、すべての人から保険料を徴収し、保険料の滞納による保険証の取り上げもできるようにしています。診療報酬の評価も現役世代とは別立てにすることができ、高齢者への「差別医療」につながりかねません。

 同時に、制度の詳細は、今後、政府が立てる計画や予算、診療報酬などで具体化されていきます。制度の運営主体も市町村の広域連合(都道府県単位)です。政府はもとより自治体に向けても、保険料の減免と保険証の取り上げを許さないとりくみが大切になっています。

 保険のきかない診療と保険のきく診療を併用する「混合診療」の本格的導入についても、政府の具体化はこれからです。今回、盛り込まれなかった、かぜなどの軽い病気を保険外適用とする保険免責制度について、「導入は考えていない」と政府は繰り返しました。保険外医療の拡大を許さず、「必要な医療はすべて保険で行う」という公的保険の大原則を守るとりくみが重要になっています。

被害の実態を告発して

 法律が成立しても、見直しをさせることは可能です。

 障害者自立支援法では四月の実施二カ月後、応益負担による深刻な実態を告発した日本共産党の国会質問にたいし、小泉首相が「苦情はきている。さまざまな実態を含めて調査する必要がある」と答弁し、厚生労働省は調査を計画しています。

 被害の実態を告発し命と健康を守る共同の輪を広げていきましょう。


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