2006年6月13日(火)「しんぶん赤旗」
戦前の「美徳」押し付け
教育基本法改悪案 NYタイムズ指摘
【ワシントン=鎌塚由美】米紙ニューヨーク・タイムズ(十一日付)は、日本の教育基本法改定の問題をとりあげた東京特派員の長文の記事を掲載し、「日本の保守派が戦前の『美徳』を学校に押し付け」ようとしていると指摘しました。
国際面のほぼ半ページを使った記事は、教育基本法について、「日本の戦前の国粋主義の再興を避けるために一九四七年、米占領下で起草されたものだ」と紹介。自民党の改定案は、「愛国心、伝統、道徳を強調し、学校管理に政治家が大きな影響力」を行使できるようにするものだと指摘しています。
そして、道徳や愛国心の強調は「戦前の象徴を取り戻し」、日本の過去の歴史を正当化する教科書の採択を進める「より大きな保守主義運動とも足並みをそろえている」とし、「平和憲法の改定作業の前兆だとみられている」と紹介しています。
同記事は、東京都教育委員会が「君が代」斉唱に関し教師たちを「非愛国的な態度を理由に処罰」している実態も紹介。「つくる会」の教科書採択が推進され、「師範塾」が設立された東京都杉並区の動きにふれ、教育基本法が改定されれば「杉並区のように、政治家が全国規模で地方の教育に影響を及ぼすことができるようになる」と批判する声があることを紹介しています。