2006年6月12日(月)「しんぶん赤旗」
教育基本法改悪 論戦にみる
一斉学力テスト・習熟度別授業
首相 「劣等感を持ってもいい」
共産 「『負け組』ふるい分けだ」
日本共産党は衆院教育基本法特別委員会の論戦で、全国一斉学力テストや習熟度別授業の問題点を取り上げて、改悪法案が「子どもたちを競争に追いたてて、『勝ち組』『負け組』にふるい分けるものだ」と連続的に追及してきました。
改悪法案は第一七条で政府が「教育振興基本計画」を定めるとしています。これに対しては、参考人質疑でも「一七条に関しては、この計画の中で、競争と選別をますます強めることになる」(堀尾輝久・東京大名誉教授、七日)との声があがっています。
二〇〇三年の中央教育審議会の答申は、「教育振興基本計画」の参考例の筆頭に「全国的な学力テストの実施」と「少人数指導や習熟度別指導」を掲げています。すでに文科省は来年度から全国一斉学力テストを実施する予定です。
この全国一斉学力テストが実施されるとどんな事態になるのか。
志位和夫委員長は特別委員会(五月二十四日)で、すでに一斉学力テストを行っている東京都の例をあげて明らかにしました。小中学校の学校選択制とセットで行われることで、新入生が成績上位校に集中し、荒川区、文京区、墨田区では新入生ゼロの学校も出ています。
志位氏は「子どもたちを競争に追いたて、序列をつけてふるい分けするやり方が、教育として好ましいのか」とただしました。小泉首相は「学力テストを一斉にやるのがどうしていけないのか」と繰り返し、子どもたちを序列化している問題には一言も触れませんでした。
笠井亮議員も、テスト前にプレテスト、プレ・プレテストをやる学校もあり、テストが終わると過度のストレスで気分が悪くなって吐いてしまう子どもがいると東京都の実態を告発。「これが全国に押し付けられることになる」と批判しました。
習熟度別授業については、石井郁子副委員長がただしました(一日)。石井氏は「習熟度別は結局能力別になる」と指摘。子どもたちが自分はだめな子だというレッテルを張られることになり、学校に行きづらくなってしまうと述べました。
小泉首相は「ある部分では劣等感、優越感を持ってもいい」「能力のある子は、もっと上の水準に行きたいのならば、そういう道を提供するような習熟度別クラスも必要だ」とあからさまに語りました。
文科省が昨年実施した調査では、習熟度別指導などの「少人数指導」よりも学級定員を引き下げる「少人数学級」のほうが効果的と答えた学校は八割を超えています(表)。石井氏は「本当に日本の子どもの学力を考えるならば、早く少人数学級にすべきだ」と要求。小泉首相も「できるだけ少人数のクラスの方が教えやすいし、生徒にとってもいい」と認めました。
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