2006年6月11日(日)「しんぶん赤旗」
イスラエル軍 ビーチ砲撃
子どもら7人死亡
ハマスが停戦破棄表明
パレスチナ・ガザ
【カイロ=松本眞志】パレスチナ自治区ガザの海岸で九日、イスラエル軍が発射したとみられる砲弾が着弾し、海水浴を楽しんでいた女性や子どもを含む七人が死亡しました。
現地からの報道によると、ガザ沖にいたイスラエルの砲艦がガザ北部のビトラヒア海岸を砲撃。家族連れで海水浴を楽しんでいた市民のうち、三人の子どもと二人の女性を含む七人が死亡、数十人が負傷しました。
イスラエル軍当局は軍艦からの砲撃を認めましたが、「武装勢力の施設を狙ったもの」と主張。誤って砲弾を発射した可能性を含めて調査中といいます。
一方、パレスチナ治安当局によると、この日、イスラエル軍の戦闘機がガザ市中心のサラーアルディン通りを走っていた車を爆撃。武装抵抗グループに対する空爆も数回実行し、グループのメンバーと思われる三人が死亡し、数十人が負傷しました。
この日は全体で十人の死亡、四十人以上の負傷者が確認され、負傷者のほとんどが子どもと女性だといわれています。
パレスチナ当局筋によると、今回の事件の犠牲者数は、二〇〇四年以降、一日としては最多。アッバス・パレスチナ自治政府議長は「血の虐殺」とイスラエルを非難し、三日間喪に服すると宣言するとともに、国連安全保障理事会に対し、イスラエルの行動を抑制するよう求めました。
事件後、負傷者が運び込まれた病院を訪れた武装抵抗組織ハマスのハニヤ首相は、イスラエルの行動を「戦争犯罪だ」と強調。「これらの虐殺、暗殺行為は、パレスチナ人の意思をくじき、不当な封鎖を継続し、パレスチナ政府と人民に圧力をかけることを目的としたものである」と非難しました。
ハマスの軍事部門は、一年半の停戦をやめる意向を示し、「イスラエルの犯罪的攻撃に対し、しかるべき反撃の場所と時間を決定する」と報復を宣言。十日にはイスラエルに対してガザからロケット弾攻撃を行いました。