2006年6月10日(土)「しんぶん赤旗」
都教委 7教員に「厳重注意」
生徒への「内心の自由」説明
今年春の都立学校の卒・入学式にあたり、教員が生徒に「内心の自由」について説明したことなどが「不適切な指導」に当たるとして、東京都教育委員会は九日、教員七人に対し、教育庁指導部長名で「厳重注意」とし、事実上の処分を行いました。関係者からは、「憲法一九条に保障された内心の自由を説明することが、なぜ不適切なのか」と抗議の声が上がっています。
「厳重注意」を受けたのは、二〇〇五年度卒業式での二人と、〇六年度入学式での五人の計七人。都教育庁は「学習指導要領に基づいて国歌斉唱時には起立し国歌斉唱するよう適切に指導すべきであったにもかかわらず、適切に指導等を行わなかった」ことを理由としています。
「厳重注意」を受けた教師の中には、卒業生の大半が「君が代」斉唱時に不起立だった都立農芸高校定時制課程の社会科教師も含まれます。
この教師は、卒業式で内心の自由の説明をするよう職員会議で校長に求めていましたが、校長が拒否したため、卒業式前日の予行演習の際に、憲法一九条は「思想・信条・良心の自由」を保障しており、「『君が代』を歌いたい人は歌い、歌いたくない人は自分の思想・信条に従って判断して結構です」と説明しました。
「厳重注意」を受けたこの教師は「学習指導要領は、卒業式など特別活動の目的は『生徒の自主性・自発性を伸ばす』こととしている。そのために権利を教えることが、なぜ不適切なのか納得できない」と語ります。
「日の丸・君が代」の強制に反対して処分された教職員でつくる、「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会の近藤徹事務局長は、「憲法一九条を生徒に教えることに『懲罰』を科すという都教委の暴挙に抗議し、撤回を求める」と述べました。