2006年6月9日(金)「しんぶん赤旗」
米軍 イラク派遣
現役将校が拒否
“戦争は法律を侵害”
【ワシントン=山崎伸治】「陸軍将校としての私の結論は、イラク戦争が道徳的に誤っているだけでなく、米国の法律を大いに侵害しているということです」―米陸軍のエーレン・ワタダ中尉(28)は七日に記者会見し、イラクへの派遣を拒否することを公に表明しました。
イラク戦争開始以来、約七千九百人の米兵が派遣命令を拒否し、「逃亡者」となっていますが、現役の将校がイラクへの派遣を拒否したのは、ワタダ氏が初めてです。
ハワイ州出身のワタダ氏は現在、フォート・ルイス(ワシントン州)に駐屯する陸軍第二歩兵師団第三旅団の最新鋭部隊「ストライカー旅団戦闘チーム」に所属。同部隊は今月末にもイラク北部モスルに派遣される予定です。
地元紙などによると、ワタダ氏は大学卒業後の二〇〇三年に入隊、イラク派遣を準備する中で戦争に疑問を抱きました。死亡した米兵の葬儀で、悲しむ家族、特に子どもの姿を目の当たりにして、「これ以上黙ってはいられない」と決意したといいます。
今年一月にイラク戦争に抗議して派遣を拒否し、辞職願を提出しました。しかし陸軍はそれを認めず、同氏も撤回する意思のないことから、軍法会議にかけられることになります。
記者会見で同氏は、「私が従わねばならないのは、心の中でも法的にも憲法であって、不法な命令を下す人たちではありません」と派遣命令をきっぱり拒否しました。
ワタダ氏支持の動きは米国の反戦・平和運動にも広がっています。反戦イラク退役軍人会はインターネットのホームページで、同氏の軍法会議でのたたかいを支援するよう呼びかけています。