2006年6月8日(木)「しんぶん赤旗」

地球温暖化対策

政府に英企業が要求

2025年までの目標設定を勧告


 【ロンドン=岡崎衆史】携帯電話会社ボーダフォンやスーパー大手テスコなど英有力企業十四社の代表が六日、ロンドンの首相官邸でブレア首相と会い、温室効果ガス削減の新たな国内数値目標設定など温暖化防止のための取り組みを政府が強めるよう求めました。ブレア首相は対策強化を約束しました。


 温室効果ガスを規制する京都議定書の目標達成期限が切れる二〇一三年以降の温暖化防止の取り組みで、数値目標の設定に反対する声が経済界に根強い中、企業自ら政府に目標設定を求めるのは異例。英経済界では、多数の国民が温暖化防止を求める中で、温暖化対策が経済活動に否定的影響を与えるとの主張を改め、企業自らが対策で指導性を発揮しようとする動きが強まっていました。

 企業代表は、ブレア首相に手渡した書簡で、二〇二五年までの温室効果ガス削減目標を英政府が設定するよう求め、英国など先進国が温暖化対策で指導的な役割を果たせば中国やインドなど途上国を含めた地球全体での温暖化対策を大きく進めると訴えました。また、他国に先駆けて温室効果ガス排出量の少ない最新技術を導入することにもつながり、経済的利益も生み出すと強調しました。

 さらに、再生可能エネルギーへの投資増加や省エネの促進、温暖化対策への国民の支持を得る努力の強化も求めています。

 企業代表に対してブレア首相は、「気候変動対策を国内的にも国際的にも加速化させることが企業指導者にとっても非常に重要となっている」と応じ、七月の主要八カ国首脳会議でも温暖化問題を取り上げると述べました。

 英国は京都議定書の下で、一二年までに一九九〇年比で8%の温室効果ガスを削減する義務を負っています。政府は、より厳しい自主目標を設定。このうち、一〇年中に九〇年比で20%削減する目標は達成困難となりましたが、同時期に10%の削減は可能だとしています。


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