2006年6月7日(水)「しんぶん赤旗」
公害被害 救済まだ
総行動30周年、政府に要請
ことし三十周年をむかえた全国公害被害者総行動が六日、東京・霞が関の官庁街で二日間の日程でとりくまれました。全国から病をおして集まったぜんそく患者や公害・薬害被害者やその家族、支援団体のスタッフら約千人が、公害根絶・被害救済と平和を求めて環境省周辺をデモ行進し、関係省庁と交渉しました。
「どうか私のような悲しい思いをだれにもさせないで」と涙ながらに、江田康幸環境省副大臣との交渉で訴えたのは、東京大気汚染裁判原告の吉澤ヨシエさん(65)=東京・北区=。「交通量の多い沿道で、一日中排ガスにさらされ、気管支ぜんそくになりました。息ができず、意識不明になったこともある。生死をさまよっていたとき妊娠中で、しかたなく中絶した」と声をつまらせます。
全国公害患者の会連合会の松光子代表幹事は「命綱の公害健康被害補償法を拡充し、浮遊粒子状物質(SP2・5)の環境基準設定を」と求めます。
熊本県天草市の御所浦島から上京した「水俣病不知火患者の会」の女性(69)も「きりでさされるような痛みで、心臓が止まるのではと恐怖にかられてきた」と訴えました。園田昭人ノーモア・ミナマタ国際訴訟弁護団長は「一昨年の最高裁判決で、今度こそ救済されると期待したが裏切られた。水俣病と認めて救済すべきだ」と迫りました。
カネミ油症事件弁護団の吉野高幸弁護士は「発生から三十八年がたった現在でも、カネミ油による被害者は、病気に苦しめられ救済されていない」として救済対策を求めました。
約六万人分の公害根絶八項目の署名を受け取った江田副大臣は「水俣病の拡大防止ができなかったことをおわびします。すべての被害者に行政責任をはたす」と答えました。
総決起集会で仁比議員が激励
六日夜、日比谷公会堂で開かれた総決起集会では、大気汚染、米軍基地騒音、ダム・道路など無駄な公共事業ストップ、薬害問題にとりくむ全国の住民団体代表や公害被害者など百八十一団体、約千二百人が一堂に会して交流。憲法改悪・米軍基地再編が、平和と人権・環境をおびやかすものだと批判する「集会アピール」を採択しました。
日本共産党の仁比聡平参院議員は、「戦争は最大の環境と人権破壊であり、『戦争する国』にする憲法改悪に反対するとともに、公害根絶と被害者救済に力をつくす」と激励のあいさつをしました。