2006年6月7日(水)「しんぶん赤旗」
教育基本法改定のどこが問題か
国民的な反対運動を急速に広げよう
日本共産党演説会 志位委員長が講演
日本共産党は六日夜、東京都内の党本部ビル大会議場で教育基本法改悪反対の演説会を開きました。志位和夫委員長が「教育基本法改定のどこが問題か」と題して一時間半にわたって講演。日本の進路にかかわり、会期末を迎えた今国会の焦点の法案とあって、第二会場を含め約八百人が参加しました。
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演説会の模様はCS通信やインターネットでも中継され、全国各地の特設会場でも多くの人が視聴しました。
志位委員長は冒頭、教育基本法改悪法案の今国会廃案をめざすと表明。同時に、法案が秋の臨時国会に持ち越された場合には、「どれだけ多くの国民にことの真相を伝え、この動きに反対する文字通りの国民的運動、国民的世論をつくれるかどうかが、たいへん重要になってくる」と今後のたたかいの重要性を強調しました。
そのうえで、国会論戦で浮き彫りになった改悪法案の「憲法に背反する二つの大問題」――内心の自由の侵害、教育内容への歯止めない国家介入について詳述。教育現場に「強制はしない」と国会答弁で明言した「日の丸・君が代」を、東京都が問答無用で押しつけている生々しい実態の告発に参加者は聞き入りました。
志位委員長は、国家的介入の歯止めをなくして強制しようとしているのは、子どもたちを競争にあおりたてる「全国一斉学力テスト」の実施、習熟度別指導の画一的押しつけだと指摘。幾重にも憲法に背反し、子どもたちの未来を奪う教育基本法改悪にたいし「反対する国民的運動を急速に広げ、このたくらみを阻止するためにがんばりぬこう」とよびかけました。
各地でCS通信視聴
大阪
大阪の会場となった大阪市のクレオ大阪中央では映像に見入り、メモを取る人の姿が目立ちました。
熱心にメモをとっていた枚方市の男性(67)は、「戦争への反省、日本国憲法の実現にむけた教育など、高い理想をもったのが教育基本法だと改めて思いました」と話しました。
女性(28)=保育士=は、「教育基本法改悪が憲法九条の改悪とつながっていることがわかってこわいと思いました。国策に従わない子は切り捨てていくということは、保育士の言うことをきかない子は切り捨てていくということと同じです」と語りました。
会場では宮本たけし参院大阪選挙区候補があいさつしました。
岩手
岩手県では、盛岡市の岩手教育会館など四カ所に設置した大型スクリーンで志位委員長の講演のCS通信を視聴しました。岩手教育会館には、市民、党員ら二百人が集まりました。
志位委員長が、政府は教育基本法改定の理由を説明できず、「村上ファンド」の問題も教基法のせいにするのではと指摘すると、会場から笑い声と拍手が起きました。
参加した元教師の男性(59)は「教育基本法の大切さを知らせて、守る責任を感じた」と話し、教育学部の男子学生(20)は「人格の完成をめざす教育基本法の理解を深めたい」と語っていました。
参加者の感想
●「君が代」強制はひどい
東京・品川区の大学一年生(18)は「教育基本法について詳しく知りたくて参加しました。志位さんの話は総合的でとてもよくわかりました。今年都立高校を卒業したのですが、志位さんもいっていたように『君が代』のときに立たないと先生が処分されてしまう、でも戦争のときのことを考えると立ちたくない、と悩みました。こんなやり方はひどいと思います。このままでは日本は危ない方向にいってしまう。もっと学んで周りの人たちにも改悪反対を訴えていきたい」と話していました。
●フィンランドの話印象的
中央大学一年の女子学生(18)は「私も習熟度別授業を受けてきましたが、できないとされた生徒にはあきらかに先生の態度が違うんです。志位さんが話した競争じゃなくて助け合いのフィンランドの教育が日本の教育基本法を参考にしたという話が印象的でした」と語りました。
●落ち込んでいたが元気に
東京都の区立小学校教諭(56)=男性=は「政府の改悪案のどこに問題点があるのか、よく分かりました。共産党の分析力のすごさと教育にたいする考えの深さもすごいと思います。現場で、年々強まる管理強化に落ち込みがちでしたが、志位さんの話を聞いて元気がでました。特に、国家が教育になぜ抑制的でなければならないか、教育は人間の内面的な価値に関する文化的な営みであるという話には感動しました。教育とは何か、を改めて考えさせられ、職場で頑張ろうと思いました」。