2006年6月4日(日)「しんぶん赤旗」
チリ大統領
教育格差是正を検討
学生は授業ボイコット継続
【メキシコ市=松島良尚】南米チリのバチェレ大統領は一日夜、五月三十一日に全国的な授業ボイコットやデモを行った高校生らの要求の一部を受け入れる措置を発表しました。大統領は、学生らの中心的な要求である公共交通機関の無料利用は受け入れられないが、土・日曜を含めて二十四時間学生割引が適用される学生乗車証を無料で発行すると表明しました。
これに対し学生団体代表は、大統領の措置を不満として全国的な授業ボイコットを続けると明らかにしました。
また、自治体の財政状況によって教育格差が生じている問題などをめぐる教育制度の改革については、大統領諮問評議会を設けて検討すると述べました。学校の設備改善、十五万五千人を対象とする大学入学試験料給付制度なども実施されます。
バチェレ大統領はこの発表で、「学生らは教育問題を社会的討議のテーマにすえた。みなさんがこの運動で示したエネルギーは無駄にはならない。よりよい教育のために、みなさんの提案の価値あるすべてのものを考慮したい」と述べました。
同大統領はこの発表に先立って、三十一日の学生らのデモと警官隊との衝突で負傷者が出た責任を問い、警察幹部数人を更迭しました。