2006年6月3日(土)「しんぶん赤旗」
金利スワップ被害者一部救済
三井住友銀が業務改善計画
三井住友銀行は二日、優越的な地位を乱用して中小企業に金利スワップ取引を強要した問題で金融庁に業務改善計画を提出しました。同計画のなかで、被害者の具体的な救済を表明しました。
それによると、優越的地位の乱用が明らかな契約(十七社)については、解約費用を同行が負担して無償で解約し、取引で生じた損害額も返還します。また、優越的地位の乱用が疑われる契約(五十一社)や、説明不十分など法違反が疑われる契約(百八十一社)については、無償の解約に応じるなど、個別に対応するとしています。問い合わせ先「金利スワップお客様相談窓口」(電話0120―321―076)も明示しました。
事件当時の頭取、西川善文氏(現日本郵政会長)と岡田明重前会長に対しては、月額報酬の50%・六カ月分の返上を要請しました。西川氏らは要請に応じる意向です。
また、計画には、再発防止のための法令順守体制の強化策として、外部有識者を委員長とする「業務管理委員会」の設置などを盛り込んでいます。
解説
全面救済が必要
融資と引き換えに金利スワップを契約させられ、多額の金を払わされた中小企業に対し三井住友銀行は救済を表明しました。この間のマスコミや世論の厳しい声を反映したものです。日本共産党の佐々木憲昭衆院議員や大門実紀史参院議員が国会で一貫して被害者の救済を求めてきました。
しかし、今回、支払い金の返還も含めて全面的に救済する対象は、十七社にすぎません。優越的地位の乱用やそのほかの法令違反の疑いがあるものについては、過去の損害額の返還には応じません。また、なんらかの救済をするとした対象は約二百五十社の枠内のことです。調査対象となった中小企業約一万八千社からみると、ほんの一握りにすぎません。
今回の事件は、優越的地位の乱用という独占禁止法に反する重大な事件です。融資を受けなければ経営を続けられない中小企業に対し、優越的な地位を利用した金融商品押し付けが日常的に行われ、“体質”化していたことを意味します。再発防止をいうなら被害者の全面的な救済からはじめなければなりません。
また、是正が本当におこなわれるかどうか、示された計画の実効性を今後も厳しく点検し、監視することが必要です。(大小島美和子)