2006年6月3日(土)「しんぶん赤旗」
共謀罪法案
「修正」でも本質変わらず
共謀罪を新設する組織犯罪処罰法「改正」案は、与党が民主党の「修正」案を丸のみする姿勢を示したことから、二日の国会は一気に緊張が高まりました。
成立へ執念
自民国対幹部は、成立したら再改正するとのべ、とにかく共謀罪を新設することに執念をみせています。与党、民主党それぞれが「修正」案を出していますが、共謀罪の対象をどの程度制限するかの違いだけで、「共謀」しただけで犯罪が成立するという共謀罪の最大の問題点は何ら変わるところがありません。
「行為を裁くというこれまでの刑法体系を変えて、思想・内心を裁くことにつながっていくという基本が変わらない限り、どんな『修正』を加えても、問題点は解消されません。きっぱりと廃案にすべきです」(志位和夫委員長)
この間、国会で与党、民主党それぞれの「修正」案が審議されてきましたが、「共謀だけで犯罪が成立する」「共謀が行われたという嫌疑があれば逮捕状の発令を受けることは可能」(五月十九日、政府答弁)と、犯罪の実行行為がなくても、意思形成にすぎない「共謀」があれば、犯罪が成立することがあらためて明らかになっています。
現行刑法は犯罪行為を罰するのが大原則です。殺人や窃盗など重大犯罪に限って未遂罪、予備罪などが科せられますが、これは例外です。
人権に脅威
共謀罪は、犯罪の実行はおろか、物的準備行為(予備行為)にすら至らない、意思の合意のみをもって犯罪とするものです。これが現実のものとなれば、表現の自由、集会・結社の自由など憲法が保障する国民の基本的人権が重大な脅威にさらされます。
国会の審議のなかでは“目配せだけでなく、まばたきでも犯罪意思が通じ合った”と決めつけて共謀罪となるという驚くべき答弁がされています。
共謀があったかどうかという“意思の合意”を取り締まるために、個人の会話や電話、メールなどが捜査の対象となり、警察による盗聴や自白の強要、協力者(スパイ)の使用など、不当な捜査活動が大規模に行われるおそれも指摘されています。
共謀罪は廃案にする以外にありません。(青野圭)