2006年6月1日(木)「しんぶん赤旗」
第一交通
偽装解散の解雇不当
大阪地裁支部 親会社にも責任
自交総連大阪地連、同佐野南海交通労組と組合員が、第一交通産業(本社・北九州市)と子会社の御影第一(本社・神戸市)に対し、解雇撤回や総額約四億四千万円の未払い賃金の支払いなどを請求していた本訴の判決が五月三十一日、大阪地裁堺支部(上田昭典裁判長)でありました。組合側の訴えを全面的に認め、雇用が回復されるまで賃金支払いを命じたほか、親会社の第一交通にも賃金相当額と不当労働行為による損害賠償責任を認めるなど画期的な内容となっています。
訴えていたのは堀川卓夫佐野南海交通労組委員長をはじめ五十二人の組合員。判決は、第一交通が利益をあげるために原告組合を排斥する目的で原告らが働いていた佐野第一交通を「偽装解散」させたと認定。佐野第一と同一の事業を継続している御影第一に雇用責任があるとしました。
第一交通とともに第一交通の黒土始代表取締役、田中亮一郎社長には個人としても共同不法行為責任があると断定。自交総連大阪地連に百十万円、佐野南海交通労組に二百二十万円の損害賠償をするよう命じました。
判決後の記者会見で堀川委員長は、「組合側の主張が認められた。会社に社会的責任をとらせていくためにがんばりたい」とのべました。
第一交通争議 第一交通は二〇〇一年三月、南海電鉄グループのタクシー七社を買収。悪質な不当労働行為を行いましたが、佐野南海労組がつぶれないことから神戸市が本社の御影第一を泉州地域に進出させ、〇三年四月、組合脱退者を御影第一に移したうえ、佐野第一交通を解散しました。同労組は解雇無効や配転命令無効、賃金支払いを求める仮処分の申し立てなどをおこない、すべて組合側が勝利しています。
大勝利に大きな拍手
第一交通闘争報告集会
全面解決へさらに
佐野南海交通労組の堀川卓夫委員長は、「5・31報告集会」の張り紙に赤の太マジックで「大勝利」と書き入れました――五月三十一日、組合つぶしを目的とした佐野第一交通(買収前は佐野南海交通)の偽装廃業と組合員五十五人の解雇に伴う裁判で、判決後に堺市総合福祉会館で開かれた報告集会での一幕です。
支援の人たち約百二十人が集まって熱気いっぱいの会場に原告団と弁護団が到着すると、大きな拍手が起こりました。
堀川氏は、これまでの支援に感謝をのべ、「規制緩和でタクシーの台数を大きく増やした国交省の責任を追及し、やりたい放題の企業に歯止めをかけるよう、原告団一同がんばっていきたい」と決意をのべました。
弁護団を代表して藤木邦顕弁護士が、「原告団と支援のみなさんの奮闘が裁判所に通じた。会社を解散させて組合ごとつぶすという前代未聞の不当労働行為に対して、組合側の請求を全面的に認めた」と判決を評価。自交総連大阪地連の権田正良委員長と、大阪労連の植田保二議長は、今後もともにがんばっていくと語りました。
集会後、原告らは支援の人たちから次々に握手を求められました。涙を浮かべながらこれに応じた堀川委員長は、「これは支援のみなさんへの感謝の涙と、会社に対する怒りの涙です。まだ気持ちは晴れない。裁判闘争の最終結論を見て職場復帰するまで、さらにがんばります」と決意を新たにしていました。