2006年5月30日(火)「しんぶん赤旗」

「愛国心」通知表“問題あり”

各地で見直しの動き

志位質問きっかけに


 「国を愛する心情を持つ」などを評価項目にもりこんだ通知表(「愛国心通知表」)が各地で明らかになるとともに見直しの動きが広がり、国会でも問題化しています。きっかけは日本共産党の志位和夫委員長に対する小泉純一郎首相の二十四日の国会答弁です。福岡市の例を取り上げて志位委員長が「愛国心を評価するのは間違ったことだ」と追及したのに対し、首相は「(通知表で)評価するのは難しい」と評価の対象にすべきでないと認めました。


 岩手県大船渡市では志位委員長の質問を知って、教育委員会が市内の小中学校を調査。その結果、一つの小学校で愛国心通知表が明らかになりました。指摘を受けて同校の校長は今年度は見直す意向です。

 埼玉県では、県教育局が把握しているだけで四市二町(鴻巣市、行田市、熊谷市、深谷市、騎西町、寄居町)の五十二の小学校が「愛国心通知表」を実施しています。騎西町では学校教育課長が二十五日、日本共産党の佐伯由恵町議との懇談で「愛国心」評価の見直しを表明しました。県教育局の担当者は通知表見直しについて「国会の審議状況をみて、動向を見守って対応していきたい」と話します。

 茨城県牛久市では市内七校中六校で通知表に愛国心の項目があります。同市教育委員会は「学習指導要領に準じているだけ。今後、改定になればそれに準じる」と言います。

 全国で愛国心が通知表に盛り込まれるようになったのは二〇〇二年度。学習指導要領改定で小学六年の社会科に「わが国の歴史や伝統を大切にし、国を愛する心情を育てるようにする」という目標が書き込まれてからです。


教育基本法改悪案の破たん

 小泉首相に続いて二十六日の衆院教育基本法特別委員会で小坂憲次文部科学相が「内心についての強さを評価でABCつけるなど、とんでもない」と答弁。「通知表の項目にもし行き過ぎがあるならば…私どもも学校長たちの理解を求める努力をしたい」とのべました。

 自民党の岩屋毅議員も同委で「ああいうやり方は不適切だ」と指摘しました。

 二十八日のテレビ番組「サンデーモーニング」(TBS系)は志位委員長と首相のやりとりを紹介しました。コメンテーターは「大臣もABC評価はとんでもないと言っているのに、学習指導要領ができるとそういう(通知表で評価する)動きになる。教育基本法もいったんできると現場はそれに合わせて忠誠競争になる」と指摘しました。

 政府案のように教育基本法に「愛国心」を書き込めば、いま以上に学校で強制が進む危険があります。政府が「愛国心通知表」を否定するならば、教育基本法改悪法案こそ廃案にすべきです。


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