2006年5月29日(月)「しんぶん赤旗」

秋田・藤里町 男児殺害

子ども どう守る

地域の力 強めてこそ

党支部も取り組み


 わずか一カ月の間に同じ町営団地に住む二人の尊い子どもの命が失われた秋田県藤里町。全国で子どもが犠牲になる事件が相次ぐなかで、スクールバスでの送迎や、子どもを見守るボランティアの組織など、さまざまな対策をとってきました。住民の中には「早く事件を解決し元の生活に戻りたい」といういらだちとともに、子どもたちをどう守るのか、地域のあり方を問い直す声もあがっています。(阿曽 隆)


 「子どもが不安がるので、テレビを見せないようにしている。親も子も落ち着かず、イライラしている。早く解決してほしい」

 四月に亡くなった女児と同じ四年生の子どもを持つ父親は、こう不満を話しました。男児の事件後、保護者らは不安の中で子どもを学校に送り迎えしています。男性は、仕事を終えて子どもを迎えに行く夕方まで、子どもを学校に預かってもらっているといいます。

自宅のそばで

 別の親は「不審者とか、変質者とか、子どもを殺す事件なんて、こんな田舎には無縁と思っていた。しかも自宅のすぐそばで事件があるなんて…。どうやったら子どもを守りきれるのか」と不安を語りました。

 「子どもをおとなから隔離し、囲い込むやりかたでは、結局、守りきれない。子どもも含めた地域の結びつきを再構築することが必要です」と訴えるのは、僧侶で町の教育委員長の袴田俊英さん(47)。自殺が全国一多い秋田県のなかでも毎年上位に入る藤里町で、六年前に結成された自殺予防に取り組む「心と命を考える会」の会長でもあり、講演会を開くなど活発に活動しています。

 「うつ病などの精神疾患に対する偏見を地域からなくし、一人ひとりが自殺問題を考えることで住民自身の力で自殺予防ができるのでは」という袴田さんは、子どもを守ることも同じと考えています。

 「子どもをどう守るかは、時間がかかってもおとなの側が真剣に考えるべきことです。防犯カメラやブザー、GPS(全地球測位システム)…。便利な道具を使うことで思考を停止してしまうことが怖い。人と人とのつながりの中で守っていくという地域のあり方が問われています」と警鐘を鳴らします。

 藤里町は、世界遺産に登録された白神山地と清流の町。しかし、人口は年々減少し、かつて一万人以上だったのに今は半分以下の約四千五百人に。

通学路の整備

 こうしたなかで、子どもを守り育て、暮らしやすい町づくりのために、日本共産党藤里支部も一貫して提言や取り組みを広げてきました。

 街灯設置や側溝にふたをするなどの通学路の整備、学童保育の実現、救急車の配備や出産費用の立て替え払い制度など、住民の要望と党支部の奮闘で実現してきたものも数々あります。

 党支部長の小林幸一町議は「広域合併にも加わらず自立した町づくりを進めてきました。子どもを大事にしたいという気持ちはことさら強い町なのに残念な事件です。一刻も早く解決してほしい。子どもを宝として地域一体となって見守り、安全で安心、住み良い藤里町をつくるために、今後も町民のみなさんと力を合わせて頑張っていきたい」と話しています。


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