2006年5月29日(月)「しんぶん赤旗」
追及 米軍再編
飛行訓練移転
米本土の部隊も
爆音被害さらに激しく
在日米軍再編で米軍機の訓練を全国六つの基地に移転・拡大する計画について防衛庁は、米本土の基地に所属する部隊の参加を「排除されない」としています。在日米軍基地の所属機とともに米本土の部隊まで加われば、移転先となる基地周辺に激しい爆音被害をもたらすことになります。(田中一郎)
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日米両政府の在日米軍再編「最終報告」(一日)は、米軍機訓練の一部を嘉手納(沖縄)、三沢(青森)、岩国(山口)の三つの米軍基地から、千歳(北海道)、百里(茨城)、小松(石川)、築城(福岡)、新田原(宮崎)の自衛隊基地と三沢の計六基地に移転することを盛り込みました。
共産党の追及に
防衛施設庁は、移転訓練を行う米軍機について「嘉手納飛行場に配備されているF15戦闘機等、三沢飛行場に配備されているF16戦闘機等、岩国飛行場に配備されているFA18戦闘機等」とし、三つの基地の所属機に限定されるかのように説明してきました。
ところが、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員が米本土からの米軍機が参加することはないのかと追及したのに対し、防衛庁の大古和雄防衛局長は「訓練移転に参加することは排除されない」と答弁(十九日の衆院外務委員会)。米本土から飛来する米軍機も訓練に参加することが初めて明らかになりました。
午前4時に離陸
こうした米軍機も加わると、どういう事態が引き起こされるのでしょうか。それは、米本土からの米軍機の展開が常態化している嘉手納基地の実態が示しています。
例えば、同基地には昨年八月、米アイダホ州マウンテンホーム空軍基地に配備されている第三九一戦闘飛行中隊のF15戦闘機十二機が展開しました。同時に、厚木基地(神奈川)の米空母キティホーク艦載機部隊など三十機も嘉手納基地に展開。沖縄周辺海域などで実施された「空・海合同演習」に参加しました。
基地周辺では連日、爆音がまき散らされ、嘉手納町役場によると、一〇〇デシベル(電車通過時の線路わきに相当)を超える爆音も記録されました。
マウンテンホームの部隊は九月三日に米本土への帰還を始めました。ところが、嘉手納基地を飛び立ったのは、午前四時。嘉手納町の宮城篤実町長は「住民の安眠を破壊するすさまじい爆音だった」「許しがたい行為」と憤りました(沖縄タイムス二〇〇五年九月三日付夕刊)。
全国に無法拡大
「最終報告」は、訓練を行う米軍機数について「1回につき1〜5機」から始め、最終的には「6〜12機」に「発展させる」としています。
しかし防衛庁は、赤嶺氏の追及に対し、米軍機数が十二機以上になることも「あり得る」(大古防衛局長)とし、深夜・早朝の飛行も「当局において話し合われる」(山崎信之郎運用局長)としています。
嘉手納基地で強行されている無法な訓練が、全国で野放しに行われることになりかねません。
しかも防衛庁は、自治体に対し、移転先を六つの基地にしているのは「当面」と説明。「日米両国は、将来における…自衛隊基地の使用拡大に向けて努力する」とし、六基地以外への拡大も狙っています。
六基地の中で最も滑走路が短いのは築城基地(二千四百メートル)。これを超える滑走路を持つ自衛隊基地には、松島基地(宮城)や浜松基地(静岡)、小牧基地(愛知)、岐阜基地(岐阜)などがあります。これらの基地に訓練が拡大される危険があります。