2006年5月27日(土)「しんぶん赤旗」

事件レポート

秋田男児殺害

静かな町なのに

住民の不安と疲労濃く


 秋田県藤里町の小学一年の男児が、自宅から十キロ離れた川岸の草むらで遺体で発見されてから八日たった二十六日、住民は、深い悲しみと同時に、「早く犯人を捕まえて元の平穏な生活に戻りたい」と、不安と疲労の色を濃くしています。(阿曽 隆)


犯人許せない

 「亡くなった男の子は、とてもかわいらしい子でした。よく家の前で遊んでいるのをみました。本当に痛ましい。子どもを手にかけた犯人は許せない」。男児と同じ町営団地に住む女性(51)は、そう語って顔を曇らせました。

 四月には、同団地に住む小学四年の女児が、やはり川で水死体となって見つかったばかり。わずか一カ月の間に同じ町営住宅の児童二人が命を失いました。現在同団地は、犯人がいまだに逮捕されていない不安と、マスコミの過熱した取材攻勢から、堅く戸を閉ざし、ひっそりと静まりかえっています。

 同小学校に孫が通う男性は、「明るいうちにこんな事件が起きるなんて、いまでも信じられない。とても子どもを一人では遊ばせられない」と不安を訴えました。

 前出の女性は、事件後、同じ町内にある実家に身を寄せ、自宅には一日一回、花に水をやりに帰るといいます。

 「奥さんと子どもを実家に帰した人はほかにもいます。のんびりした静かな町だったのに、いまは疑心暗鬼で町全体の雰囲気が変わってしまった。早く犯人を捕まえてほしい」

校長らが会見

 同日、事件後八日たった子どもたちの様子を、男児の通う小学校の校長らが会見し説明しました。

 県からカウンセラーとして派遣されている臨床心理士は、「子どもたちが直接事件現場などを体験したわけではないのでPTSDはおきにくいとおもう。むしろマスコミ報道などの情報で、不安を強める二次被害が心配。全体で子どもたちを見守ることが必要だ」と話しました。

 同校校長は、「子どもたちは落ち着きを取り戻しつつあり、男児のお兄さんも元気で登校している」と授業の様子などを紹介。負担感が強まっている保護者による登下校の送迎については、「勤めのある人は大変だが、今後も継続するようお願いしていく」と語りました。


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