2006年5月26日(金)「しんぶん赤旗」
電気・ガス止められ孤独死
生活保護申請させず
北九州市
北九州市門司区内の市営住宅で二十三日に孤独死していた男性(56)が、生活保護の相談を二回もしていたにもかかわらず、同市保護課は、「急迫した生活状態」とわかったうえで申請書さえ渡さなかったことが二十五日までにわかりました。孤独死した男性の遺体はミイラ化しており、一月下旬に死亡していたとみられます。
市などによると、男性は昨年九月に区の生活保護課を訪問。生活保護の受給を求めました。このとき市は、住宅供給公社からの連絡などから男性宅の電気、水道、ガスなどがすべて止められている「急迫した生活状態」であることをすでに把握していました。
しかし、区は男性の親族から援助を受けられないかと、話し合うよう求めて、生活保護の申請書を交付しませんでした。
この間、ライフラインが止められた男性宅には、親類がペットボトルに入れた水やパンを届けていたといいます。
さらに昨年十二月、男性が「親類も余裕がなく『援助ができない』といっている」と再び生活保護を要請した際にも、区はほかの親類からの援助を提案、申請書を出しませんでした。
門司区で無料生活相談を毎週つづける日本共産党の橋本和生市議は、「党市議団は、生活保護の申請権すら認めない行政の窓口対応を直ちに改めるよう追及してきたが、今回は、その弊害が最悪の形となってあらわれたケース」と指摘します。
同市では、生活保護の受給要請に対し、扶養義務のある家族の援助や働くことを強く求め、窓口で申請を断念させるケースが多発しています。
橋本市議は、「保護要請を相談として扱い、申請書すら渡さないのは明らかな違法行為。申請の意思のある人には、無条件で申請書を渡すよう今後も強く求めていきたい」と強調しました。