2006年5月26日(金)「しんぶん赤旗」
第2回日中理論会談つづく
理論プロジェクトの第一線専門家と意見交換
<2日目>
【北京=菊池敏也】中国訪問中の日本共産党付属社会科学研究所所長の不破哲三氏一行は第二回日中理論会談の二日目の二十四日、北京市内で中国の各分野で活躍する十五人の専門家と意見交換をおこないました。
中国側から参加したのは、「マルクス主義理論の研究と建設のプロジェクト」に携わる五百人あまりの研究者のうち、中国社会科学院の李慎明副院長、マルクス主義の古典研究をすすめている中央編訳局の韋建樺局長、そして哲学、政治経済学、社会主義論、諸外国の理論研究などの研究者です。これには、中国共産党中央宣伝部・中央対外連絡部の幹部も同席しました。
司会を務めた同プロジェクト調整責任者の張西明・中国共産党中央宣伝部理論局副局長は、昨年十二月の第一回日中理論会談の成果を強調しながら、今回、不破氏を迎え、中国の第一線の理論研究者を交えての前例のない会合を持つに至った経過を報告しました。
不破氏は、お互いに初対面なので、「私自身と日本共産党について自己紹介したい」とのべ、党が自主的な理論研究と実践をすすめてきた経過について「五〇年問題」や一九六〇年代の干渉とのたたかいなど、党の歴史を紹介しました。
その後、まず李副院長が、今日がどういう時代なのか、ソ連崩壊の本質的原因や二十一世紀の世界の社会主義の展望、社会主義と市場経済との関係など七項目について質問。また他の専門家からもレーニンの国家論、マルクスの社会主義論、欧州の共産主義理論の変遷や社会主義社会の定義にかかわる問題など、多くの質問がだされました。また、韋局長は、同プロジェクトの一環としてすすめている古典の翻訳と研究について報告しました。
張氏は最後に、不破氏が大きなテーマの質問について簡潔かつ明快に答えたことに感謝しながら、中国のプロジェクトが国際的に連携して進行しているという点で大きな意義をもつものであり、今後も継続していきたいと締めくくりました。
不破氏は、この交流が有益なものとなったことを喜び、初対面から「旧知のあいだがらとなったのだから」とのべながら、今後中国の研究者とさまざまな機会に交流していきたいとのべました。
この意見交換には、以下の各界の専門家が参加しました。李慎明(中国社会科学院副院長)、程恩富(同院マルクス主義研究院常務副院長)、王一程(中国社会科学院政治学研究所所長)、楊耕(北京師範大学教授)、豊子義(北京大学哲学部教授)、裴小革(中国社会科学院経済研究所研究員)、趙曜(中央党学校教授)、秦剛(同)、韋建樺(中央編訳局局長)、兪可平(同局副局長)、王学東(同)、張文成(同局世界社会主義研究所所長)、兪邃(中国共産党中央対外連絡部高級研究員)、陳志尚(北京大学教授)、秦宣(中国人民大学教授)の各氏。
中央宣伝部副部長と会談
【北京=菊池敏也】不破哲三氏ら一行は、二十四日午後、中国共産党中央宣伝部の?樹剛副部長と会談し、その後も夕食をともにしながら率直に意見交換をしました。
?副部長は、若いころに不破氏の著作の中国語版を読んだ経験などに触れながら、「私たちは日本共産党の理論建設の成果に注目しており、それらを諸外国の経験の一つとして重視している」と強調。昨年十二月の第一回日中理論会談の意義を確認しながら、この二年間にわたり中国側がとりくんできた「マルクス主義理論の研究と建設のプロジェクト」の体系や課題、進展状況などについて説明しました。
不破氏は、日本共産党の理論や党建設などの質問に答えると同時に、同プロジェクト全体への印象などについて語りました。
未来社会論、現実の世界の動向をめぐり議論
中連部と2度目の会談
<3日目>
【北京=菊池敏也】不破哲三氏ら一行は二十五日午前、二十三日につづき、中国共産党中央対外連絡部(中連部)の張志軍副部長(理論担当)との二回目の会談をおこないました。
張氏は、日本共産党はなぜ「生産手段の社会化」を未来社会の核心とするのかという問題、それに関連して、生産手段の社会化と分配の関係、生産力の発展の関係、さらに農業における社会主義への移行の形態、さらには先進資本主義国における資本主義から社会主義への移行の問題について提起しました。
質問にたいし不破氏は、マルクス・エンゲルスの概念、それらをもとにした日本共産党の考え方と新しい綱領のなかでの定式化などについて詳細にのべました。また、欧州を含む資本主義諸国での革新政党の戦略・方針などについての質問にも答えました。
不破氏は、二十一世紀の世界の社会運動の展望という提起に応えて、ラテンアメリカなどの世界の動向に触れながら、社会主義の動きにおいても新しい局面に入るという見方を示しました。
張氏自身、最近のラテンアメリカ訪問の経験を振り返りつつ、今日起きている同地域での変化についてのべるなど、両氏は活発かつ刺激的な意見交換をおこないました。