2006年5月24日(水)「しんぶん赤旗」
「体力低下、働けず」
遺棄毒ガス 中国人被害者が会見
旧日本軍が敗戦間際、中国に遺棄した毒ガスに触れ、被害にあった黒竜江省チチハル市の丁樹文さん(26)、馮佳縁さん(13)、吉林省敦化市の劉浩君(10)の三人と毒ガス被害者を支援する日本の弁護士らが二十三日、東京・千代田区の弁護士会館で記者会見しました。
建設現場労働者だった丁さんと当時小学生だった馮さんは二〇〇三年八月、地下駐車場建設で掘り出されたドラム缶の毒ガスで被害にあい、小学生の劉君は〇四年七月、小川で見つけた砲弾をいじっていて毒ガス被害にあいました。
三人とも二〜四カ月入院。今は、体力が低下し、走りまわることができない、仕事ができない、目が痛い、風邪をひきやすいなどの症状を訴えています。
「今一番不安に思っていることは」との質問に、丁さんは「六人家族の大黒柱なのに、働く能力を失った。家族をどう支えるかが一番の不安で、考えても考えても何もでてこない」。馮さんは「これから病気がどうなっていくのかが、一番の不安です」、劉君は「病気もつらいが、友達がいっしょに遊んでくれない」といいます。
山下基之弁護士らは、三月に日中の医師が共同で行った毒ガス被害者五十一人の検診と聞き取りの結果を報告しました。
咳(せき)が出ると訴えている人が八割あり、免疫機能障害が懸念されています。疲れやすい、息切れがするなどの理由で、三十八人中三十七人が無職になっています。
弁護士らは、被害者の現状に即して、医療保障と生活保障、根治治療の研究推進を求め、日本政府と話し合っていることを明らかにしました。