2006年5月24日(水)「しんぶん赤旗」
外国人襲撃23%増
ドイツ ネオナチが増加
【ベルリン=中村美弥子】ドイツで外国人排斥やホロコースト(ユダヤ人大虐殺)否定を主張するネオナチが増加していることが二十二日、連邦憲法擁護庁の年次報告書でわかりました。世界中からサッカーファンが集まるサッカー・ワールドカップ(W杯)ドイツ大会開幕を直前に控え、ネオナチの存在はお祭りムードに影を落としています。
サッカーW杯に影
報告書によると、二〇〇五年、極右集団による犯罪事件は前年より27%増加し、約一万六千件起きました。外国人襲撃事件は九百五十八件(前年比23%増)でした。暴力を信奉するネオナチの数は前年より四百人増の一万四百人でした。
ショイブレ内相は、ネオナチの増加を憂慮し、「過激主義、外国人排斥、反ユダヤ主義を容認することはできない」と記者会見で語りました。国を挙げてネオナチの影響力拡大を許さないたたかいを進める必要があると述べ、国民にいっそうの協力を求めました。
ネオナチは失業問題が深刻な旧東ドイツ地域で増加しているといいます。ドイツ国内ではここ数カ月、ネオナチによる外国人襲撃が大きな社会問題となってきました。
先月十六日、ベルリン郊外のポツダムでエチオピア出身のドイツ国籍の男性がスキンヘッドの男に襲われ重傷を負いました。また、今月十九日には、トルコ出身の左翼党ベルリン市議会議員のギヤセッティン氏が路上で男二人から暴力を受け負傷するという事件が起きました。
事件を受け、左翼党のギジ氏とラフォンテーヌ氏の連邦議会共同議長は二十一日、厳しく非難する声明を発表。外国人排斥のネオナチが広がる土壌には、多くの若者が将来に展望をもてないでいる現状があると指摘し、ネオナチ根絶に向けて取り組みを強化していくことを表明しました。