2006年5月23日(火)「しんぶん赤旗」

三菱UFJ 最終益1兆円超す


 三菱UFJフィナンシャル・グループやみずほフィナンシャルグループなど大手銀行四グループは二十二日、二○○六年三月期連結決算を発表しました。不良債権処理の進展に加え、投資信託の販売増などを背景に、最終利益は軒並み過去最高を更新。最大手の三菱UFJは一兆一千八百十七億円(前期は二千百六十一億円の赤字)となり、国内トップのトヨタ自動車(一兆三千七百二十一億円)に迫る高水準となりました。

 三菱UFJの最終益は、過去に積み立てた貸倒引当金が不要となり、六千億円を超える戻り益が生じたため、大きく膨らみました。

 一方、みずほはシンジケートローン(協調融資)の手数料収入の増加により、最終利益は3・6%増の六千四百九十九億円となりました。

 また、三井トラスト・ホールディングスの最終利益は27・3%増の千百九十六億円、住友信託銀行は3・3%増の一千億円と、いずれも過去最高でした。


中小企業・利用者が犠牲

大もうけ還元を

解説

 三菱UFJグループが一兆円を超える最高益をあげた背景に、小泉政権が迫ってきた不良債権処理にめどをつけたことがあります。中小企業などに犠牲を強いた“恩恵”としての六千億円にのぼる「戻り益」です。不良債権処理には多額の公的資金が投入されています。

 同グループは人と店舗を減らすリストラと、「収益至上主義」の経営を進めてきました。

 預金者には限りなくゼロに近い利息と高い手数料。一方、「ゼロ金利」でほとんどコストなしに資金を調達し、投資信託などの投機的な金融商品の販売を広げたり、サラ金との提携を強めて稼ぐ体制を築いてきました。実際に手数料収入など「非金利収益」は前年比で千七百億円余も増やしています。その結果がこの高収益につながったといえます。

 公的資金の返済は当然のことですが、今、銀行グループに求められるのは、この大もうけを預金者・利用者へ還元することです。(矢守一英)


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