2006年5月23日(火)「しんぶん赤旗」
早急な保育園民営化は違法
地裁判決 横浜市に賠償命令
横浜市の市立保育園の民営化問題で、民営化した四園に通う児童の保護者六十八人が、同市を相手どり、民営化の取り消しと損害賠償を求めた裁判の判決が二十二日、横浜地裁でありました。河村吉晃裁判長は、保育園民営化を違法とし、原告団(計二十九世帯)一世帯あたり十万円の支払いを命じました。行政による公立保育園の民営化が違法という司法判断が示されたのは、全国で初めてです。
同訴訟は、小泉「構造改革」の横浜版といわれる「行政改革」を推進する中田宏市長のもと、二〇〇三年十二月に制定された条例に基づいて翌〇四年四月一日から民営化された横浜市立の丸山台、鶴ケ峰、岸根、柿の木台の四保育園に通う児童の保護者らが起こしたものです。
原告団は民営化によって(1)わずか三カ月の期間で職員がいっせいに入れ替わり、子どもの混乱、けがの増加など保育環境の悪化があった(2)市側の説明が不十分―などをあげ、同民営化が児童の健全育成を義務付けた児童福祉法などに違反していると主張しました。
判決で河村裁判長は、民営化した判断について「特別に民営化を急ぐ理由があったとは認められず、裁量の範囲を逸脱、乱用したもので違法」と指摘。民営化によって多様なニーズに応えられるなどとした市側の主張は「早急な民営化を正当化する根拠としては不十分」だと断じました。
一方、保育園民営化のために「改正」した条例については、取り消すことが原則としながらも、「無益な混乱を引き起こす」として、原告側の請求を棄却しました。